第3話 部員を集めたりするのです。

「ねぇタマちゃん。」


「ん?」


「僕たち何でダンジョン部創ったんだっけ?」


「ダンジョン攻略するためだろ?」


「そうだよね。…で、そもそもだけど、2人でダンジョン攻略出来ないから部活に入ろうか…って話だったよね。」


「おうよ。…で、厳しくなくてダンジョン攻略出来る部がなかったから創ったんじゃないか!!」


「うん…。でもさ……今…2人だよね?」


「………。」


「………。」


 目的の為の手段であった。しかし彼らは手段の為に目的を見失っていたのだ。…バカである。


「あ…あれだよ…。これから部員を集めれば良いじゃないか!!」


「もう5月だよ?部活やるような人はもう入ってるんじゃない?」


「やってみなきゃ分からないだろ?とりあえず募集のポスターでも作ってみようぜ。」



 ポスターを作って3日が過ぎた。校内にある掲示板全てに貼ったがいまのところ新入部員は0だ。


「何か問題でもあるのかな?」


「見直してみるか。」

 

 改めてポスターを眺める。


『新設第5ダンジョン部

 新入部員募集!!

 ダンジョンに興味はあるけど行った事がない方一緒に攻略しませんか?

 入部条件

 ・1年生に限ります。

 ・ダンジョン初心者のみ募集』



「別に問題ないよな~。」


「ないよね~。」


 部室のドアが勢いよく開く。顧問の丹澤慶子だ。


「あっ。先生。お疲れ様です。」


「おまえらアホか?」


「え?」


 突然の暴言…嫌味なく、それでいて威圧感を残す絶妙のさじ加減…それを使いこなす女…それが丹澤慶子…丹澤慶子である!


「おまえらはアホかと聞いているんだ。」


「いや…アホではないと自負しておりますが…。なぁハンクス…。」


「えぇ、タマちゃんはともかく僕はアホではない自信があります。」


 思わぬ裏切りである。


「いや、私に言わせればアホだ。何だこのポスターは?」


 丹澤慶子は乱雑に剥がしたであろう四つ端の破れた部員募集のポスターをぴらぴらさせた。


「何か問題でも?」


「じゃあ、聞くが、これを見てどうやって入部するんだ?」


「そりゃ部室に来てもらったり、俺とかハンクスに言ってもらえれば………あ…。」


「気づいたか…。そう。それらが一切書いてない。ましてや将棋部部室が第5ダンジョン部の部室に替わった事を知っている人間はお前たちと私しかいない。それでどうやって部員を集めようというのだ?」


 2人は押し黙った。今しがた否定したアホであることを認めざるを得なかったからだ。だが、その発想自体がアホであることを2人は気づいていない。


「…で、ここからは朗報だ。このポスターを見てどこに行けば入れるかを聞いてきた生徒がいた。お~い。」


 丹澤慶子が外に向かって呼び掛けると1人の小柄な女子生徒が姿を見せペコリと頭を下げた。色白の髪の長い美少女と言っても差し支えない容姿だ。


「1年3組、郷田桐子(ごうだ とうこ)です。よろしくお願いします。」


 同じ学年にこんな子がいたなんて…というのが2人の感想だった(後日談)。


「よ…よろしく。」


「よろしく。郷田さんは何でウチに入ろうと思ってくれたのかな?」


 ハンクスがややかっこつけて言った。腹立つ…。


「あ、はい。第1ダンジョン部に入ったんですけど、中級上級の方が多くて…。居づらくて辞めちゃいました。…で、ポスター見てこちらなら楽しくやれるかなって思って。」


 はにかみながら話す郷田さんを見て2人は思った…何て可愛いんだ…と(後日談)。


「あの~…。」


 部室を覗き込む背の高いメガネの男子生徒が恐る恐る声を掛けてきた。


「あら。入部希望者?」


 丹澤慶子が嬉しそうに声をあげる。


「はい。石田良(いしだ りょう)といいます。」


「やったよタマちゃん!!4人なら行けるじゃん!!」


「おう!!郷田さん、石田君、第5ダンジョン部へようこそ。これからよろしくね。」


 喜ぶタマ、ハンクス、丹澤慶子。これで第5ダンジョン部は晴れてダンジョン探索に行ける人数になったのだ。そんな中、困惑気味に目が泳いでいる者がいた…石田君である。

 実は石田君は廃部になった事を知らず将棋部に入るつもりだった。そして、この盛り上がりの中、間違いでしたと言いづらいな~…まぁ入るしかないか…と腹を決めるのであった。かわいそうに…。



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