軽率な発言から得られた、新たな希望!?

   ワシントン州 ハリソン夫妻の自宅 二〇一四年六月三日 午後六時一五分

 少しずつ取り乱していくマーガレットとジェニファーをよそに、貝のように一人黙り込んでいる香澄。なぜか彼女たちの喧嘩に一切口を挟まなかった香澄だが、マーガレットの言葉を聞いた瞬間、ある可能性が脳裏をかけめぐる。

「――ちょ、ちょっと待って。メグ、今あなた何て言ったの!?」

冷静な香澄が突如声を荒げたことにより、思わず身を引いてしまうマーガレットたち。

「えっ、いきなり何よ香澄!? ど、どうしたの突然?」

「いいから私の言う通りに答えて……さぁ、早く!」

「わ、分かったわよ――もぅ、そんなに怒鳴らなくてもいいのに」


 普段大声など出さない香澄に怒鳴られたことにより、思わず委縮してしまうマーガレット。だがどこかに落ちないながらも、香澄に言われるがまま自分が発言したことを反復する。

「私たちは動物園や公園や水族館を探したけど、どこにもあの子の姿はいなかったわ。そしてトムのご両親の元にもいないって――」

「――それよ、メグ! ってところ」

「か、香澄。一体何が言いたいの?」

 一体香澄が何を言いたいのか、マーガレットには依然として謎のまま。それは横で二人のやりとりを聞いていた、ジェニファーやハリソン夫妻も同じ気持ち。


 そんな彼女たちの気持ちを知ってのことか、香澄は自分が何を言いたいのか説明する。

「メグの一言を聞いて、私思ったんです。ケビン、フローラ。トムがご両親のリースとソフィーたちと一緒に――いえ、かつてはどこですか!?」

「トムがソフィーとリースたちと一緒に暮らしていた場所……かい? ! ……あ、あなた、もしかして!?」

「……そうだ! 僕らはまだ確かめていない場所が、一つだけ残っていたよ」

“やっぱり自分の考えは間違っていなかったわ”と、心の中で一人確信する香澄。

「それは一体どこなんですか、教えてください」

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