文脈から考えるレトリック①
ちょっとレトリックに関して言い忘れがあったんで補足説明をば。
えー、形容詞とか装飾的な補助文言っていうの全般においてですが、肝要なのは「文脈」てことになってきます。
ざっくり言っちゃうと「統一感」みたいなモンで、出来るだけ揃えといた方が見栄えは良いよね的な事柄です。なので破っちゃってもぜんぜんへーきです。
呪文のよーに覚えておいてください、『小説はルール無用』です。
特に日本語で書くバアイでは本気でナンデモアリなんで、海外でどーだろうと日本においてはナンデモアリだから「うるせー!」で済ませましょう。日本語ってそういう部分は問答無用のスチャラカ言語ですので。カッコ良く言えば柔軟性?(笑
常に多数決優先、和のココロー、なのでクラスタ間で通用するかどうかが基準です。世間一般では非常識でもクラスタ間では通常運転という事柄は多くあります。もちろん、クラスタ間でいつひっくり返るかは解りませんし、ひっくり返った以上はそれはもう通用しませんケドも。永遠なんか無いんや、ということで。
さて、以上を踏まえまして、文脈という話です。ようやく本題。
シンプルな文章をひとつ用意しましょう。ビジネス文といって私がちょいちょい引き合いに出す文章ですけどね、えーとね、「彼女は悲しんでいた。」としましょう。これがコアです、中核の、伝えたい部分です。
ここからさらに正確さとシンプルイズベストを兼ねて、ビジネスライクに必要最小限の要件だけ伝える文章を組みます。
「長年飼っていたプードルが夜に病死したので今朝の彼女は悲しんでいた。」
になります。ぜんぶ取っ払っています。しかし正確に伝えるための最低限は備えていると思います。いつ、誰が、なぜ、どこで、どうした、です。
これを装飾付けた文章にします。
「彼女が小学生くらいからずっと家で飼っていた真っ白のプードルは、ここのところ少し薄汚れたみたいに毛並みが黄色がかってきていた。動くことも少なくなって、弱っているなとは家族皆が思っていたけれど、ついにこの夜の間に死んでしまった。病名はまだ解らない、彼女の嘆きはことさらで、今朝もまだずいぶんと引きずって、いつまでも悲しんでいた。」
プードルが真っ白だったとか、今は黄色がかっているとか、小学生くらいから飼っているとかが装飾になります。奇妙に感じると思います。「プードル」に掛かっている語句の「真っ白の」というのは明確に形容詞ですけど、装飾といった場合には他の重なった意味合いの文言もぜんぶ含んできますので、ややこしいんですわ。
装飾語と、装飾的文言というのは違うからです。ビジネス文章は、装飾的文言を取っ払うというトコまでいくので、ごちゃごちゃになるんです。
もっともっと装飾的な文章にすることも出来ます。心理を足せば幾らでも文は増やせます。しかし、この文のコアはたったの一言「彼女は悲しんでいた。」だけです。
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