【追加原稿】日常シーンからの開始について
誰しもが、プロットもなしにいきなり冒頭から書き始めたとしても、まず初期のうちには見せ場というか、盛り上がるシーンが浮かぶと思います。指南本ではそれを指して、冒頭にそのままソイツを持ってきなさいと教えます。
これがけっこうな曲者なわけで、ジェットコースター式に次から次へと驚く展開にしろって意味なんですわね。
それやるには前提条件で、次から次へとアイデアが沸いて出てくる頭であるっていうのがくっ付いてますけども。
そうでない人だったら、すごい苦労しますし、脱線して空中分解だのエターナルへ旅立つだのの遠因ですわな。一貫した物語にならないだとかね。チョイス出来るほどに多量のアイデアが出せて初めて成立する手法だったりしますんで。
参照としては手前味噌ですが「デスゲスライム」がコレに当たります。最初に思いついたアイデアを上回るアイデアでどんどん展開をひっくり返していってます。湯水のようにアイデアが湧き出る温泉型作者向けのやり方ですわ。
しかしWebで流行ってんのがテンプレであることを観れば解かるように、こんな次から次へとアイデアが出てくる人間の方が少数派です、ええ。こういうことを書くとスネ夫チックで厭味と取られそうですが、実際、アイデアが泉のように涌いてくるということと人気作者であるってのはあんま関係ないと違うんかな、と思います。
こういう温泉頭ってのも一つの才能です。そんだけのことで、天才は参考にならんのと一緒で当て嵌まらない人がいくらコレを真似ようとしても無理ですわ。
タイプが違えば違うなりの戦い方ってありますから、そっち行きましょう。
その方法は、タイトルにあります通りの「日常シーンからの開始」がヒントです。山場として思いついたアイデアはそのまま温存しておき、それに繋がるシーンを新たに作る。この時、逆算が働きます、遡っていって連鎖で冒頭のシーンを作るわけなんで。ここで、多くの人はそのまんまチョロチョロと手直ししてGOサイン出しちゃいますわ、これがダメだというだけなんです。
山場までの展開あるいは冒頭、カタチになって現れたらその前にくっついている日常シーンが、読み返してみたらクソつまんねーってのくらいは自分で気付けるはずです。山場まで通して読んでみれば、山場はワクワクと心が躍るのに冒頭からはちっとも心が動かない、心理的に「ここはまぁツナギだから、」なんて思ってる。
自分で解かってるじゃないですか、クソつまんねー、て。それは妥協なんですわ、ツナギだから、とか思ってるその心理。感情が動いてないでしょ、頭が読み込み作業してるだけで。
テンプレ書きがよく言うでしょ、「ここをこうしたら面白くなる、」って。これを自作の冒頭から山場まで、時には最初の山場のシーンも含めてぜんぶやればいいんですよ、カンタンでしょ?
書き換えるたびに弱点は訂正され、長所は強化され、狙いははっきりとしていきます。なんせ、現物の原稿としてカタチが現れているんですから。
一旦、勢いにまかせて全編書き上げる。長い長い物語なら一つの区切りまで書いてしまって、それから推敲でせめて冒頭だけでも取り替えましょう。そのシーンを元に、印象付けることを考えるわけです。
原稿が存在するということは、全体を考えなくていいというメリットが出来てきます。第一稿は遥かな終盤まで視野に入れて書かねばならなかったけど、それはもうカタチが出来ているので、もっと集中して書けるわけです。
改稿ってチョロチョロと語尾だのをいじくるだけではなく、全文取り替える勢いでやっちゃうのが正解なのです。
テンプレモノを書きたいというわけではないなら、その書式を守る必要はないわけですね、簡単に言えば。ならば、冒頭の例えば異世界へ転生するシーンなど削ってしまっても構わないわけです、主人公の設定をもともとその世界に生きてる人間にしたって何も問題ありませんわ。全編のストーリーが見えていれば、転生者である必要性があるかどうかだって簡単に判断できます。
そうして、テンプレに従った方がメリットがあるのか、外した方がメリットが大きいのか、現物を見ながら改めて秤にかけて計算してみてね、という話です。
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