異化ってなんぞや?

「異化」について。つづく。


つづきです!

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(シャレの解かる人だな~ 大好きです)



 ざっくり書くと、『日常生活の中で意識から抜け落ちてしまった事柄を拾い上げて、再び新鮮な感覚で受容してもらえるように、加工し、編集し直すこと』です。


 人が経験した物事は、日々と共にその記憶が劣化してやがて忘れられてしまいます。強烈な出来事も記憶の中でやがては薄らいでいくものです。忘却です。あるいは似通った経験を重ねることで上書きされ、陳腐へと変化します。陳腐となった事柄からはもう、興奮も感動も得られません。


 例えば、初めて電車に乗った時はどれほど興奮したでしょうか。あるいは初めて一人でおつかいに行った時のドキドキした感情。想像は出来ても思い出すことは出来ないはずです。感情そのものの記憶は劣化して消えてしまったわけです。


 成長と共に、電車に乗る行為も、買い物に行く行為も、取り立てて特別なイベントなどでは無くなったのです。非日常が変化して記憶と同化する、すなわち「日常の回復」です。そこから取り出して磨き直すので、「異化」になります。


 日常、我々はとても多くの初体験とそれの慣れを経て、多くの忘却を行ってきたわけですが、初々しい初体験のその感覚は工夫次第で再び呼び戻すことが可能です。


 それを文学においては「異化」と呼び、切り口を変えたり、加工を加えることで、陳腐化した記憶の中から開放し、追体験として再び読者の前に出現させることができると考えられています。


 使い古された事柄を、リニューアルする、それが「異化」です。

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