一人称と三人称にまつわる世の誤解

 一人称、三人称のなんたるかはザックリで説明したので端折ります。


 で、本題ですが、世の中では一人称の方が感情移入がしやすいと書かれておりますね、あれは嘘です。誤解です。感情移入をさせようと思えば、ガッツリ描写をせんといかんとですが、一人称での描写はなかなか書けんとです。西郷せごどんもそう言いよっとです。今年の大河は西郷どんでごあす。そろそろ悪ふざけば止めるとです。


 世間では一人称の方が主役に感情移入がさせやすいと言われていますが、実際は三人称一視点、つまり主役の後ろにカメラ据え置き型の書き方をした方が、遠慮なく描写をテンコ盛りに出来るので感情移入もどっぷりなんです。

 一人称は描写に制限が盛大に掛かってしまう書き方なので、実際はこれで感情移入を狙うとするなら、相応の技量が要求されてしまうのですね。なので、まだハードルが低いと思われるのは、実は一人称でなく三人称です。


 気分良い、という感情を読者に伝える文章を書くとしましょう。一人称でだらだらとこれを書くと、いかにもクドイ性格の主人公になるでしょう。描写を凝らすにはクドイ性格の主人公以外は不可、という制約になってしまうわけです。


 では、描写を減らして気分が良いという感情を読者に伝えるにはどうすればいいでしょう。そのシーンを丸々、気分がいいのよ~、という文章で綴るというのも一つの手です。しかし、それでも詳細に伝達するのには限界が生じます。


 三人称ならば、話だというのにね。


 しかし、根本的に、ダラダラクドクド幾らでも書き連ねられるから際限なくやっちまったー!になってしまうというのは弊害の一つと数えても良いかも知れません。

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