「台詞」と「地の文」比率的なこと①
台詞と地の文ですが、これの比率も非常に感覚的になってきます。台詞はなんせ読者的にはもっともストレスフリーで読めるパーツです。なので、台詞だけの作品なんてのも成立してしまうわけです、やり方次第では。
対して、もっともストレスを感じるパーツが、実は「説明文」なんですが。
最近はこれがどうも読者の側で慣れが生じてきたようで、あんまり皆さん苦にしませんね。むしろ昔ながらの古いタイプの読者ほど嫌う傾向があるような。
小説としては落第なのだけど、ダイジェストとしてはそうでもない、ちょっと詳し目に書かれた「あらすじ」的なモノが結構人気です。これはハイロック氏のエッセイにもありましたけどね。慣れとか時代の要請とか色々理由はありそうです。Webだから許される、というのすら考えられそうで興味深いところ。
ただ、読者層が違う。ここが唯一の注意点でしょう。
古いスタンダードな小説の体裁を取ってしまえば、もちろんそっちの読者を引き寄せるわけなので、あらすじ的な書き方をすると不利になります。逆もしかりで、最新のラノベ体裁だったら何でもアリだけど、スタンダードはちょい敬遠されます。
スタンダードな作風で書くのは、がっつりと「人間」に関するテーマで、それは非常に読み応えというか、深さが求められる。対して、最新の書き方は深さを犠牲に広がりを持たせているので、ジェットコースターのようなという形容そのままに、展開という部分が読者の期待になります。
なので、前者のスタンダードでは説明文調の地の文はまったくダメですが、後者のジェットコースターではOKになるわけです。メリーゴーラウンドがフルスピードで回転したらアカンのと同じです。回転木馬はスタンダードな小説です。
で、コイツはゆっくり回るからこそ、細かい細工が可能なのですな。じっくりと見るユトリが読者にあります。なので、普通はアカンと言われているアレもコレも可能となります。過去と現在の二重奏とか、叙述トリックとか、全文神視点とか。こういうのはジェットコースターでやると、読者は気付かない確率のが高いです。
どの程度ジェットコースターなのか、展開スピードが速ければ速いほど、アレやコレやを突っ込むことは出来なくなると覚えておいてください。スピードを示すタコメーター代わりになるのは文字数でしょうが、Web小説のスピードはどうもトップスピードのものが多いように感じます。
かつては推理小説が、展開が速すぎると苦言を受けていたのです。具体的には島田御大の作品なんかです。あれ、今読んで展開速いとか思います?(苦笑
地の文が過剰になるのは、展開が遅い作品にはよくあります。けれど、その地の文は本当に必要ですか? その風景描写も、心情描写も、書かねばならないような「深さ」を持つ作品でないなら、不要ですよ。
例文を取ってきて解説します。
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