第16話 幕間・伝説の勇者の予言

「そういえば、予言の話ってちゃんと聞いたか?」

 

 異世界側が「最後に1つ聞いてほしい話」の準備に時間がかかっている間、空気を読んでか、肉まんが話しかけてきた。


「そういえば、伝説の勇者として俺が予言されたってことしか聞いてないな。」


 予言なんて曖昧なものだろうから、これ以上の情報は無いかもしれないが、ちゃんと聞けば実は人違いなんてこともあるかもしれない。淡い期待だろうけど。


「予言はですね!ダイダラス帝国賢者のアラ・ミト様が魔法で予言を行うんです。」


 ここぞとばかりにユキメが会話に入ってくる。


「アラ・ミト様はダイダラス帝国に4人しかいない魔女の末裔の1人でな。予言魔法も数代に1人しか使えない貴重な魔法さ。」


「で、予言の内容はどんなだったんだ?」


 賢者様とやらには興味はない。それよりも予言が曖昧な内容だったらそこをついて、俺を勇者にするのを諦めてもらおう。


「”ダイダラスに訪れし脅威から、異世界の東京都練馬区△△の3丁目8番地に住みし居住啓介という16歳の勇者が人々を救うであろう”という予言が出たんだ。まさにお前のことだろ?」


 勇者の指定だけ具体的すぎるだろ。脅威とか救うとかは曖昧なのに。


『すまない、待たせたな。』


 通信鏡からライオネス将軍の声がして、3人がそちらに向き直す。


『今、こちらはこちらで魔人対策をしていてな。それを現場の人間に話をしてもらった方がいいと思って連れてきたんだ。』


 鏡に映っているライオネス将軍が横に退き、背が高く凛とした顔立ちの女性が現れた。


『はじめまして。ダイダラス帝国第一騎士団長のミラ・クラステンと申します。』

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