第2話クリスマスパーティー

 今夜はナタリの家でクリスマスパーティー。馬鹿みたいに騒ぎながら豪華なご飯を食べたり、持ち寄ったプレゼントでプレゼント交換をしたり、テーブルいっぱいにボードゲームを広げて遊んだり……。毎年恒例だけど毎年すごく楽しみだ。

 「おじゃましまーす」

ナタリの家は外イルミネーション、中はたくさんの飾りつけとクリスマスツリーで彩られていた。これも毎年恒例なのだが、イルミネーションは毎年何かしら工夫が施され、去年とは全く違う印象を持つ。ナタリの両親はすごいなって毎年思うほどだ。

 「今年も気合い入ってますね! 去年とは全然違うように見えますよ」

僕が言うと、ナタリのお父さんザトリは胸を張って言った。

「だろ? 使うモンはほとんど変えてねぇんだ。ちょこーっと配置やら組み合わせやらを変えるだけで印象ってモンはガラッと変わるんだ」

なるほど。そういうものなのか。

 ザトリさんの長い自慢話をどうにかかわし(ナタリにも助けてもらった)、パーティー会場となるナタリ家リビングへと足を踏み入れる。

「おぉ~!」

カルハが目を輝かせる。これも毎年恒例だが、テーブルの上に並ぶ豪華な食事を見ると声を上げずにはいられないだろう。

 「いただきますっ!」

席に着いてすぐに、カルハは声を上げる。いや待てって。さすがに失礼だって。

 と思ったがすでにザトリさんが席について食事を始めていて、「おう、食え食え」とカルハに勧めていた。

 僕ら猫たちのクリスマスパーティーでは、メインとなる食材は魚だ。鯛の丸焼き、鮭のムニエルなどなど……とにかく魚料理がたくさん出てくる。

 「んまい! 毎年ほんとにありがとうございます!」

僕が言うと、ナタリのお母さんナギはにこりと笑ってこう言った。

「いえいえ、食材は半分以上ファミくんのおうちから貰っているものだしね。こちらこそ感謝しているわ」

毎年この時期に僕の家に届く食材は、カイナにいちゃんの知り合いからという体で、ルーフィンから送られてくる。年明けまでに畑を一新するというのが恒例になっており、そのとき引っこ抜いた野菜や果物がまとめて送られてくる。夏野菜のはずなのに冬でもめちゃくちゃうまいから、大いに助かっている。しかしそれは結構な量になるので、毎年ナタリの家にもおすそ分けしているということだ。

 おしゃべりしながらの食事はあっという間で、いつの間にかテーブルの上から料理が消えてしまっていた。

「はいじゃあこれデザートね」

そう言ってナギさんがキッチンからケーキを持ってくる。

「うわぁ……!」

このケーキは毎年ナギさんの手作りで、去年はショートケーキだった。今年は、

「これ、ブッシュ・ド・ノエルって言うの」

らしい。完璧なタイミングで代弁してくれた。心でも読まれたか。

 ケーキもおいしくいただいた。そのあと、ボードゲームをやろうという話になったのだが、カルハが時間の都合で帰らなくちゃいけなくなった。仕方が無いのでそれは明日のか別の日にしようという話になり、今日はこれで解散となった。

「じゃあね」

「うん、また明日。よいクリスマスを。……何もないといいね」

「そうだね。何もないことを願うよ」

僕はそう言って家に帰った。

 いやまさか、このあとあんなことが起こるだなんて思ってもいなかった。


(つづく)

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