第2話各国が羨む経済力

ブルゴーニュ大公国最大の武器はなんと言っても、他家を凌駕する圧倒的な経済力に他ならない。

経済力が高い地域には条件があった。

①まず豊かなこと。

フランドル、低地地方ネーデルランド

豊かなこととは河川や土壌等が他の地域に比べて優れており、食料産出が富んでおる事であった。

その様な地域は欧州では限られていた。

パリ、ロンバルディア《ミラノ》、ナポリ。

欧州で食料産出が富んで居るところは数える程しかない。

②産業が発達していること。

食糧に余裕が有れば、食糧生産以外の職業も生まれてくる、つまりは産業経済が生まれるという事でもあった。

人間が求める物は基本的には3つしかない衣服、食事、住居である。

豊かな地域というものは人間が生きてく上で必要で求める、衣服の生産つまり織物の産業が発展していたのである。

③商業が発達していること。

①~②の条件があう国は欧州内でも、結構有ったが③の商業が発展している地域は数が少なかった。

人間が欲しい資源は他の地域から交換して得ていたのであるが、移動が大変であった。

商業が発展する地域は交通の要所の地域であり、沿岸部は理想的であった。

商業が発達するには商人が必要であり、幸いな事にフランドル地方にはドイツ商人組合ハンザの一員で有ったため、北ドイツ諸侯からバルト海沿岸部までの商業圏範囲化までの交易が可能であった。(主に木材)

つまり①~③の条件が全て備わっていたフランドル、低地地方は欧州地域でも指折りに発展している地域だったのだ。

ブルゴーニュ大公国は豊かな低地地方ネーデルランドに魅せられていた。

初めはフランスのブルゴーニュ地方の領主で有ったにも関わらず、フランドル地方が手には入った途端にフランドル地方から出なく成ったのである。

宮廷もブルゴーニュ地方のデジョン州から、フランドル地方のブリュッセル州に移転された。

ブリュッセルとはそれだけ見事な魅力的な街で有った。

代々ブルゴーニュ大公国の大公は低地諸侯ネーデルランドに腐心するようになった。もっと低地地方ネーデルランドの領土が欲しい、低地地方ネーデルランドを富ませ豊かにさせたい、音楽や芸術を発展させて華やかな生活がしたい。

豊かな低地諸侯の領主達はそんなブルゴーニュ大公国に忠誠を誓っていた。

彼らとブルゴーニュ大公国は利害が一致しており、ブルゴーニュ大公もフランスの公爵というよりももはや完全にフランドルの公爵でもあった。

さらには低地諸侯ネーデルランドはブルゴーニュ大公国の傘下に入って思いがけない幸運に恵まれていた。

織物産業が主流のフランドル地方では織物の原材料である毛糸や木面に不足していたのだが、ブルゴーニュ大公国の婚姻先であるポルトガル王国は海外遠征をいち早く進めていたためにモロッコ産の毛糸やアジア産の木面などがブルゴーニュ大公国のつてで入手出来たため、国は更に栄えたのだった。


ただの一地方公爵が、膨大な資金と強大な軍事力を手に入れたのはフランドル地方のおかげと言っても過言ではない。

そんな文化的にも優れいる血族を誰もが羨み欲しがったのは言うまでもない。それが時の神聖ローマ皇帝であってもなのだ。


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