1.Science!ご飯を食べよう!
「あなたの呼び方はユウでいいいかしら?」
ここはファミレスという場所らしい。この店のドアが自動で開いたのには驚いたが、食べ物はこちらの世界でもそんなに変わらないようだ。ということは毒には気をつけないといけない。たまにあるのだ。
「ああ。で、君は誰だ?」
「あのねえ、さっき歩道で自己紹介したでしょう!?」
「
「どのようなって?」
見た感じこいつはエリートだ。それなのに日向は自分がどのような素性なのか分からないのだろうか? 村人Aがエリートでしかも変わった少女なんてさすがにきついぞ。
「王族とか貴族とか平民とかあるだろ? さすがにその身なり才能では奴隷では無いと思うが」
「面白いことを聞くわね。そうね・・・その選択肢の中だと私は平民ね」
日向はフッと笑ってから自己紹介をした。なにか変なことを言ったのだろうか? そろそろ食事も終わる頃、いつも通り魔法でコップの中に水を入れると日向がびっくりした様子で立ち上がる。
「ええ!? あなた本当に魔法使いなの!?」
「だからさっきからそういってるだろ?」
「#$%&’(」
翻訳の魔法、エレファントフットを使用しているのになにを言ったのか聞き取れなかった。つまり、彼女は規格外の人間なのだろう。日向が大げさな反応をしたせいか周りの客からの視線を集める。
「日向、そろそろ座ってくれないか? 周りの目が痛い」
「はっ・・・・・・」
彼女は何か悟ったように、今度は勢いよく席に座り顔を机に突っ伏す。日向が30.06秒たっても起きないため話しかけてみる。
「生きているか?」
「ううううううー・・・・・私、もうお嫁に行けない」
日向はいぜんとして机に突っ伏したままだ。こいつまるで子供のようだ。それとも、同い年にみえるだけで子供なのだろうか?
「ん? そういえば日向は今何歳だ?」
「今年で16になる15歳よ」
「あ、本当だ。お嫁に行き遅れてるな」
「は? まだ私結婚できる歳じゃないんだけど?」
「え。俺の住んでいた世界だとたいてい14歳くらいには結婚してるものだぞ」
別世界から来たということを言うべきではなかったのだろうか?彼女はまた目を白黒とさせている。この世界の人間は難しいな。
「じゃ、じゃあユウ君も誰かと結婚しているの?」
「ああ。だが、そいつとはもう半年以上会えていないな」
「どうして?」
「会えない人になったから」
「でも、それはこの世界にくる前の話でしょう? 会おうと思えば会えたじゃない」
「彼女は半年前、俺と同じテレポートの魔法を使った。そして彼女の使った魔法を再現しようとエリートながら苦手な転移属性の魔法を必死で習得した」
「え、じゃあつまりこの世界にその子がいるってことね?」
「世界が二つだけならその可能性もあるな」
「私が探すの手伝ってあげる」
彼女はまた立ち上がって俺の手をつかみ、ぶんぶんと振る。
「それはありがたいのだが手がかりも何もないんだ」
「その魔法でなんとかならないの?」
「残念ながら魔法にも同時にかけられる数の上限があるんだ」
そもそも、魔法とは、発動させるために自身の能力で同時にかけられる数の魔法の上限があるのだ。
俺は普通の人よりも少し多い16GBの魔法限界値をもっているのだが、今使っている上級翻訳魔法エレファントフットで6GB使用している。さらにかすり傷を治すために2GB使っている。そうすると残りは8GBしか使えない。そして、せっかくこの世界に来たのだから、この後彼女を探すために彼女の残留思念を探す魔法を常時発動させておかないといけない。するとこの魔法は中級魔法なので5GB必要だ。すると残りの容量が3GBになってしまうが、いざとなればエレファントフットを切ればいいし初級魔法でなんとかなるだろう。
日向と話していて気がついたことがある。どうやらこの世界には魔法を使える人物は存在しないようなのだ。そこで日向に魔法についてのレクチャーをし、本題に戻る。
「じゃあ、つまりあなたがそのワープの魔法を使ったのは彼女を追いかけるためなのね?」
「そういうことになるな」
「そうすると暮らす家も無いわよね?」
「魔法でなんとかする。少し容量も余ってるしな」
「そう・・・でも意地張らないで私の家に来てもいいのよ?」
彼女はさっき出会ったばかりの俺を家に泊まらせてくれるというのか?しかし・・・
「こんなどこの馬の骨ともわからない俺をか!?」
「どこの馬の骨かはさっき聞いたじゃない。それに、あなたが嘘を言っているようには見えなかったわ」
「日向は絶対詐欺にだまされるタイプだぞ?」
「なんとでもいいなさい。この美少女と一緒に暮らせるのよ?」
・・・ああ、この女。確かに可愛いがとんでもなくナルシストなのかもしれないな・・・
・・・うん、本当に可愛いが。性格がな・・・・・・
そうして日向と俺の大切な彼女、エクリエルを探すことになった。
まさかこの後学園に通うことになるとは思ってもいなかった・・・
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