3.Identification!なにもかも規格外な学校生活!
この世界はどこへ行っても戸籍を確認される。
俺は戸籍が嫌いだ。なぜか?それは、簡単に入学手続きができると思っていた学校に戸籍、住民票なるものを求められ、弾かれたからだ。
まあ、そんなのは魔法で捏造してしまえばいい。日向と戸籍について考えよう。
「なあ、日向、戸籍って親族的身分関係だよな」
「難しい言い方をしたらそうね」
「じゃあ、とりあえず身分に不足がないように・・・天皇の隠し子っと」
「わー、ちょっと待てー!!」
俺は、日向に戸籍とは親族的身分を表すものだと教えられた。だから、隠し子という自然な形でこの国の一番高い身分にある皇族になろうと思ったのだが。
「あなたね・・・天皇は日本の象徴なのよ?」
「うん。それで?」
「隠し子なんていたらどうなると思うの?」
「さあ?」
「さあ?じゃないわよ。しかも皇族には戸籍がないんです!ユウが皇族になりたいのならまずは勉強をしなさい」
ということは、今戸籍のない俺は皇族ということか。フムフム。
「じゃあ、ちょっと学校入学してくるわ」
「ふぇぇ?」
日向は全く理解ができないという顔をしているが、傷も治ったことだし戸籍ではなく身分をごまかす魔法を発動させてしまおう。科学の世界は魔法への耐性がないからいろいろと自由だな。
俺TUEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!とか調子に乗りつつ学校へ向かう。え、なんで学校が分かるかって?案内魔法『GUIDE』があるからだ。ちなみに少々重たい3GB。(エレファントフット:6GB 黄昏フェイクくん:2GB クンクンドッグ:5GB GUIDE:3GB)この魔法で俺の使える限界値ぴったりの16GB。
名前はアレだ。師匠から受け継いだ技とかがほとんどなので名前を変えられない。だから少し変わった名前とかいろいろあるかもしれないけど・・・・・・
***
学校では転入生にも関わらずすんなり入学を許可してくれた。なぜだか敬語を使われたが。それだけ身分が高いということだろうか?
家に帰ると日向が青ざめて出てきた。
「ニュース見て!」
『繰り返します。本日、午前十時頃、天皇陛下に隠し子が発覚しました。今年で高校1年生の男の子ということです。詳細な情報は入って来次第お伝えします』
「さっきからあのフレーズの繰り返しなのよ。ユウ、どうするのよ!?」
「もしかして、あれ俺のこと?」
「そうよ。だから皇族は止めたのに・・・・・・」
この世界では隠し子がいた程度で大騒ぎになるのか。別に身分が高いんだから問題はないだろうに。やはりこの世界は難しいな。
この事態を収拾するためにもしも、黄昏フェイクくんを解除した場合、学校側との生徒という契約はなくなるだろう。解除したあともう一度黄昏フェイクくんを使えばいいと思うかもしれないが、魔法でも一度起きた出来事は消えない。つまり、天皇の隠し子ということで報道された事実は残るのだ。ということは、出来れば使いたくないが、GIDEを解除したことで空いた3GBのうち魔法容量1GBを使って事態を収拾するしかないか・・・
俺はどこかの未来からきたぶっ飛んだ天使のようにバットを持ち唱える。
これでしばらくすれば、事態も収まるだろう。今回は応急手段として国家的な圧力を使ったのだ。
日曜日になり、国家的な力で特定したのかそれとも皇族には魔法使いがいたのか、あり得ない特定スピードでボディーガードを名乗る黒い服を着た人たちが来たので、あまり言えない魔法を1GB使い上手に言いくるめ、丁寧にお帰しした。正直、案外ちょろかった。
***
月曜日になった。国家圧力でメディアは静かになったが、ネットにはもう写真も拡散されているうえに、皇族という設定なので学校では騒ぎになっていた。皇族という身分にしたことに皆と同じ土俵に立てないという点から少し後悔している。
教室で自己紹介をしたときも皆に敬語で話しかけられたので皆と同じ平民だと思って欲しいということの説明をしたりと苦労が絶えなかった。皇族の方は大変なのだと改めて思った。軽々しく隠し子とか言ってごめんなさい。
ただ、皇族という設定で得をしたこともあったのは事実だ。まだ4月の入学式直後であるというのに興味本位で皆が話しかけてくれたことで友達はたくさん作れそうだ。
いつの間にか放課後になる。ということで学校については明日詳しく散策するとして、忘れていたが本題だ。彼女、エクリエルを探さないといけない。周りに人がいて少し邪魔だがそれらには適当に反応しつつクンクンドッグの能力を研ぎ澄ませる。やはり反応はない。
と、ふいに周囲がざわめきはじめる。
「ねえ、あれ何?」
きっかけは女生徒の何気ない言葉だ。俺もその方向を見てみる。
そこにはこの世界で不良と呼ばれている風貌をした人3人ほどで、校門のところで生徒を脅し、何かをとっている姿だった。
恐らくあれがカツアゲというやつだろう。この学校は、校門までの距離が玄関からほぼ一周したところにあるので、校舎の中から校門を見ることはできるが、玄関からは校門を見ることができない作りになっている。きっと気がつかないで出てきた生徒が被害にあっているのだろう。
教師は誰一人として校門に向かう気配はない。つまり、このままでは被害が増える一方だ。
別に正義の味方を気取っているわけではないがこういう展開は割りと向こうの世界でも頻繁に発生していてそのためかエリートであった俺がよく駆逐していた。
そんな時がなんとなくなつかしく思えて俺は人混みをかき分け校門まで向かった。
玄関には噂が広まったのか待機勢が固まっている。それもかきわけ校門まで向かう。
俺は不良にガンを飛ばしながら何食わぬ顔をして校門から出ようとする。
当然止められる。そして当然声をかけられる。
「おい、てめえ、しゃしゃってるんじゃねえぞ?アン?」
僕は何も喋らず1GBで強化した肉体で不良の鼻の穴に右手人差し指と中指を入れ、そのまま持ち上げ右側に投げ飛ばす。
「鼻が・・・鼻が・・・」
と必死に数秒だけだが自分の全体重がかかった鼻を大げさにいたわっている。
1人目戦闘不能っと。鼻ときたら次はどこにしようかな。都合よく左手に持っていた昨日来た黒服からもらった催涙スプレーに気がつく。あ、そうだ!金曜日9時からやってた映画のム○カみたいになってもらおう。
とか考えている間にも二人がかりで襲ってくるので身を引いてかわす。うーん、これ片方を片付けないとム○カ作れなさそうだな。
って、あれ?二人が左右から勢い良く襲ってきたせいか、俺が少し避けたことでお互いが頭を打ち合っていつの間にか伸びていた。
これでは偶然を装って持ってきた催涙スプレーが使えないのでせめて伸びて気を失っている二人にでもかけようかと思ったが、それだと反応がなくて面白くない。右側の人物を見つめる。その人物は「ヒイッ」目があっただけなのに鼻をいたわりながら情けない声を出し、後退する。
そうだ。こいつはまだ動こうと思えばまだ動けるはずだ。そう、危険人物なのだ。鼻の人にはム○カになってもらうべきだな。
もっともらしい理由をつけ、プシュ~とかけてみる。科学の威力は素晴らしく、予想以上に効いた。
「目が、目がぁああ!」
そうして俺は校舎からの歓声を浴び教室にカバンを取りに戻った。
今日、学んだ事がある。やはり科学は素晴らしい。
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