第10話 ニーベルン城

 チュン、チュン、チュン、


 雀に似た鳥の鳴き声と、窓から差し込む陽の光で目を覚ました。


 ふぁ〜、


 ベットから腰を起こし、欠伸をする。


 ううっ、


 両手を伸ばし、新鮮な空気を吸いながらストレッチで身体をほぐす。


 もみもみもみ……、


 心地良い弾力が、手に伝わってくる。

 穏やかな朝の目覚めに、少し期待したが、夢ではない。

 俺は、美少女エルフのままだ。


 もみもみもみ……、


 俺達は、ユニコーンのユニ子達の大活躍で、辺境伯の居城、ニーベルン城に昨晩、到着する事ができた。


 そして、俺は、大切な客人として扱われ、城に部屋をあてがわれた。

 まだ、辺境伯には、会っていない。

 こっちも、会うつもりはない。

 レティーシア姫がいるから、ここに、いるだけだ。


 トントントン、


 ノックの音が聞こえる。


 もみもみもみ……、


 誰だろ?


 バタン!


 返事を待たずに扉が開き、メイドが入ってきた。


 もみもみ……!


「なっ!」

 メイドと目が合い、俺は恥ずかしさの余り俯いた。

 耳がとても熱い……。


「お、おはようございます」

 彼女があいさつしてきた、もみもみを見られた……、無かった事にするか……、いや、亡き者にすべきか?


「あ、あの〜」

「あっ、おはようございます」

 ニコっと顔を取り繕い返事した。


「そんなに、気にされなくても、ソフィア様は、お綺麗ですよ!」

 唐突に、メイドの彼女は、両手で拳を作り、力強く訴えてくる。

 そんな彼女の胸も、俺より大きい。くそっ!


「セシリア様に聞きましたわ、ソフィア様が、あの……、その〜、胸の事を気にされてるって!」

「えっ?」

 何?  何を、言いだすの、この娘、馬鹿なの?


「ソフィア様は、今のままで、お綺麗ですから、それ以上、綺麗にならないで下さい!」

「え〜?!」

 セシリアがユニコーンの一件で、何やら勘違いをしてるらしい。

 でも、この娘、セシリアと知り合いなんだな。


「あ、ありがとうございます」

 一応、礼を述べる。自分のおっぱいを揉んで楽しむ変態と思われるよりマシだ。


「あと、私はメイドですから、ソフィア様は、敬語禁止です!」

 彼女は、前かがみになり、人差し指を振りながら、俺の言葉使いを注意した。


「ええ、気をつけるわ」

 彼女に笑顔を返し、ベットから鏡台の前に移動した。


 うっ……ひど!


 鏡に映る姿を見て、苦い顏になった。

 肩にかかる銀髪が大爆発していた。そう、酷い寝ぐせだ。

 早速、直すために、手ぐしを入れる。

 なかなか上手くいかない、手が髪に引っかかる度に、イタッと顏を歪めてしまう。


「ソフィア様、じっとして下さい」

 メイドが後ろに立ち、何処から持ってきたのか、櫛で髪をすいていく。


 櫛が髪に引っかかるのが伝わってくるが、絶妙な力加減で、痛みを感じさせない。

 髪の長さが肩までで良かった、もっと長い髪だと、手入れの事を思うとゾッとする。


「そろそろ、朝食が始まります、ソフィア様は、主役らしいですよ」

 ここは、朝食の習慣があるのだと確信し、

 毎日、朝食って面倒くさいなぁ〜、と溜息を吐いた。


「そんなに、気にされなくても、座ってれば、終わりますよ」

 溜息を勘違いした、メイドの返事に、ハッとした。

 偉い貴族との食事、テーブルマナーを知らない俺は、本当に、座ってるだけになるだろう。

 紹介される場が、夕食でなく、朝食だという事実も気になる。


 はぁ〜、


 今度は、さっきより、大きく溜息を吐いた。


 メイドは、楽しそうに、俺の髪をすき整えていく。


 こうして、寝ぐせが直り、着替えた俺は、朝食の席に座る為に、メイドと一緒に部屋を出た。

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