第2話

 もみもみもみ……、


 今、俺は考えている、


 もみもみもみ……、


 今後の身の振り方について……。


 もみもみもみ……、


 揉みながら考えるている。そう、俺の手のひらより少し大きいおっぱいは、張りのある弾力が心地よかった。

 う〜ん、やっぱり、もうちょい、胸は大きく設定すれば良かったかもしれない……、でも、この大きさも捨てがたい……。


 揉むのをやめ、ジャンプしてみる。


 ピョンピョンピョン、


 プルプルプル、


 胸が揺れるのを感じる。素晴らしい……!


 胸元をみつめ、ドレスの隙間を広げようと……。


 何、やってんだ俺!


 俺は、頭を抱え地面に座り込むと、豊かな銀髪が視界を覆う。


 俺には、ここが何処かわからないし、ゲーム以外の記憶が不確かであやふやだ。


 これは、由々しき事態なのかもしれない。


 う〜ん、しばらく、唸りながら考えるが、良い考えは浮かんでこない。

 もしかしたら、俺は、馬鹿なのかもしれない。ちょっと、ショックだ。


 俺は、勢いよく立ち上がった。


 そして、叫ぶ、あれは、必ずあるに違いない。いや、頭の中には、漠然と存在している。


「ステータス、オープン!」


「オープン、ステータス!」

 反応が無い、まさか、無いのか。


「お願いっ! 開いて! ステータス!」

 手のひらを組み膝をつく、女子力全開でお願いポーズをしたが、ステータスは現れない。

 美少女の祈りに応えないという事は、存在していないという事だ。


 頭の中に、漠然とした数値は浮かんで来るが、はっきりとした形では、ステータスは存在していない。


 レベルという概念は、この世界では一般的なのだろうか?

 その辺りは、人里で確認が取れるだろう。


 振り返れば、魔法は一般的なのかもしれない。

 さっき、ゴミの石を首に掛けた男が何やらほざいていたし……。


 人差し指を顎に当て、物思いにふける。


 そういえば、意識してなくても仕草が女性らしい事に気付いた。

 言葉も、女言葉に変換されるようだし……。


 そもそも、何で、美少女キャラでプレイしていたかというと、プレイ画面をみていて癒されるからだ。筋肉モリモリの男を見て喜ぶ趣味は俺にはない。

 そして、最強の魔法少女を実現する為、日夜、イベントをこなし、課金していた。


 実力も、容姿も、最高を目指して!


 ちなみに、銀髪も課金しないと選べない。

 何たって、魔法の威力上昇の付加効果があるし、更に、エンチャント枠が一個あるという優れ物だ。

 ちなみに、種族はエルフだから、魔法の威力に関しては、トップクラスの自信がある。


 いや、今は、脱線している場合ではない!


 周囲の状況を把握して、まず、真っ当な人がいるところを探す。

 そして、話しかけて情報収集だ。


 人里を探すのに、ピッタリなスキルを思い出す。


【フライ】だ。


 オフライン版の魔王を倒す事で得られる、大空を自由に飛び回る夢のような基本スキル。

 そして、そのスキルを利用し、オンライン版のラスボス、邪神を倒す為に、天空大陸へとプレイヤーは旅立つ。


「フライ!」

 俺は、発動を念じながら、口でスキルを唱える。


 身体が軽くなるのを感じる。


 地面を蹴ると、勢いよく上昇を始めた。


 上空から見た世界は、果てしなく広がっていた。

 遠くには、山が見え、辺り一面は、大森林が支配している。

 自然豊かな世界。


 足元を見ると、今までいた草原が、森に囲まれていた事が分る。

 スキルを使って空を自由に飛び回る方法は、頭の中に刻まれていた。


 衝動を抑え、人里を探す為に、真剣に風景を確認していく。


 遠くに煙が上がっているのが見えた。


 その側には、きっと人がいるに違いない。


 俺は、その方角に向け飛ぶ事に決めた。





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