第3話 どうせなら、平等に愛してよ
学校に着くと、隣に並ぶ彼女の靴箱を確認してしまう。無意識に。
こういうのにも、運命を感じてしまう。1年のことから大好きで、2年生になってから、同じクラスになって、それで、靴箱も隣。運命と言っても過言では無いと、虚勢を張っている。
……あ、今日も、僕の方が早い。
靴箱が隣にあるおかげで、彼女が、もう学校にいるのかどうか、ひと目でわかる。いつも、彼女は、登校が僕より遅い。そんな事まで、確認できる。
授業の席も、彼女とは遠いけど、彼女より後ろの席だから、何してるのかすぐにわかる。…見たくないものも、見えてしまう。
彼女は、正直に言って、男好きだ。後ろを振り向いては、男と楽しそうに話している。見たくないのに、目が追ってしまう。
…でも、だからこそなのかもしれない。僕に話しかけてくれるのも。構ってくれるのも。
僕は、昨日のことを思い出す。
彼女とは、同じ部活だ。彼女は、部活が大好きで、来ない後輩がいると、来るようにすすめる(強引に)。
それなのに、だ。
昨日、彼女は、部活に来なかった。
だが、部活が終わって、靴箱を見ると、靴は、何故かあったのだ。
不思議に思い、彼女の友達に聞いてみると、
「きっと、勉強教えてるんでしょ。男の子に。」と言った。
「頑張ってるんだよ。彼女も。」
その言葉を聞いて、衝撃を受けた。
それは、つまり、6時までずっとずっと、一緒にいたということなのか?部活にも来ずに?頑張ってるって何?グルグルと一瞬で駆け巡った。
僕は、彼女は、ただ、モテたいだけの女の子だと思っていた。
それなのに、違った。
ちゃんと、標的に定める獲物もいて、その獲物に夢中だったのだ。
とうせなら、平等に愛してよ。
ただ、ただ、色んな人にモテたいだけの女の子になって欲しかった。
あーあ、君の、1番になりたかった。
同立1番が、良かったのに。
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