思いの重なる旅に、僕は出る

秋は訪れ、葉っぱよ、舞い踊れ。

季節が輪廻する中で最も赤く、

納涼風あきかぜを呼び寄せ、夏の熱を払う。


冬か、冬よ、まだ来ないで。

季節が輪廻する中で最も白く、

緩い夏の海も、弱い心も、雪で閉じ込める。

海は塊になり、心は会えないで折れる。


季節が変わる前には、

座る僕が一人で思う。

秋の風に撫でられ、僕は微笑む。

寂しくなった、暖かくなりたかった、

微笑みながら、心が折れそうになった。


強がっているわけじゃない、

顔で嘘をついたわけでもない。

泣いていたいだけだ。笑っていたいだけだ。

人の身になりたいんだ。


矛盾に見えるし、矛盾な可能性が百パー、

だが矛盾じゃないんだ。

可能性を全て包んだカオスなんだ。

万人に万面でいたいんだ。

人のためと僕のため。

君の嬉しさは僕の喜び、

君の嬉しさは僕の楽しみ、

君の笑顔に僕は飢えるんだ。


悲しみは脳裏を過る、

人の死と人の苦しみを思い出す。

喜びは脳裏をよぎる、

人の笑顔と歓喜に飢える心を思い出す。

共感ってやつなのさ。


笑う時に笑いすぎないように

悲しむ心が常に残る。

悲しむ時に笑っている人の事も

万が一僕と同じ悲しみに遭うと、

笑うまで悲しみから脱出する道を、

僕は身を滅ぼして、探しつつある。

あの次に悲しむ人のためなんだ。

そいつが嬉しくなる道を探そうとするんだ。


粗末な詩で、筆を執ると、

君を再び思い出す。


なんとかなりたいと思う気持ちで詩を書き、

なんとかなりそうな物を僕は作り出す。

例え、それが悲しむことでもいい。

例え、それが嫌がらせる事でもいい。

君さえ居れば、僕は書き続ける。


なぜって?

君と思いを重なっていきたい。

君にも僕の世界に参加してほしいんだ。

共に世界が見たいんだ、

共に人のことを思いたいんだ。


だから僕は書き続ける。

君に出会って、君と肩を並ぶ。

君に出会って、どくしゃと、

思いの重なる旅に、僕は出るんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る