秋は冬の前兆と同じように、君は未来の前兆だ
秋風がそよそよと訪れる、
葉っぱの落ちる
雨も降るこの地に。
階段に登りかけ、その途中で腰をかけ、
暖かいコーヒーの香りが漂ったコップを手に、
秋風に撫でられる頬でにっこりと笑い、
目を瞑って、口元で笑みが浮かんだ。
感じるよ、時間が過ぎた事を。
その上に、年が上がることも。
ひょっとしたら、明日僕は死ぬかも。
事故にあったり、地震でぺしゃんこになったり、
過労死になったり、殺人事件の被害者になることも、
人間でさえあれば、不可能ではなかろう。
だが、いいさ。
時間は錆びていく、身を囲む物とともに、
僕はいずれこの世を去るんだ。
その途中で、何とかしなきゃって思うと、
自分が存在したってやつだけは
残しておきたかったんだ。
いずれ、どこかでの誰かの、
心の中に永久な響きを鳴らすような、
何かの残影だけでも、残したかったんだ。
だから、詩を書き始めたんだ。
心が感じるものも、人に知らせたいものも、
文字さえあれば、身が居なくたって、
魂の宿るページと文字に、
僕は自分の歴史を吹き込む。
ひょっとしたらこれで、
文字が、僕というイメージの召喚呪文となり、
そうなったらいいなと、
常に心で願い続けて、
匠のように繊細な
幾千万の星々が煌々と輝く中で、
それぞれが自らの光を
和やかに解き放って
互いへも、地球の小さな民へも煌き続けた。
ある素晴らしい作品に出会い、
その価値観を吸い取り、
自分の物にしてみたら、
どこかで、自分の生活に響いてしまったんだ。
優しくなったとか、
許せなくなった人を許すようになったとか、
人に手を差し伸べるようになったとか、
どこかで、自分の
悟った何かのいいものが
必ず生活に貫き、次に出会う人に対しても
その人の次にも、君は一秒ずつ思想を整えていく。
こうして作品の素晴らしさに触れられた君の心は、
作品を読まない一般人にも、素晴らしさっていうものを
見せびらかしたんだ。
互いに響き合う作者と読者が合奏して、
世をだんだんと変えていった。
毎年平凡な季節のように訪れる秋が、
冬の予鈴かのように
平凡な
世界未来のエピソードを書いている。
作品の未来も
君の手に預けて
よかったんだ。
今の
間違いなく、
未来の前兆だ。
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