苦痛という痛み止め

夜を泣いていた、笑が消えていった。

涙が頬に沿って落ちる様を

鏡ですら見たくもなかった。


痛みに添える心の傷がある、

生々しい傷をあばき、生々しい傷を負う。

止めた痛みを再び味わう。


痛かったね、

連想するだけで。

重かったね、

思い出に重さがあるなんて。

欲しかったね、

癒しなどなかったなんて。


唯昔の自分でいて、

唯一人だけで頑張っていって、

暗闇に包まれた孤独さが

なおさら寂しく感じて、

痛みに塩をかけた。


痛みを増すに連れ、脈を打った心が揺れ、

日々かけて苦痛を耐えた記憶が蘇る。


そうして耐えてきたんじゃないか。

痛く思って、辛く思った。

それでも頑張ったんじゃないか。

こうして生きてこられたんじゃないか。


美味しいよ、

あの思い出は。


この上の苦痛を耐える人もいるんじゃないか。

痛かったのに、辛かったのに、

それでもあいつらは負けないんじゃないか。

幸せな笑顔で痛みに向き合ったんじゃないか。


思い出すよ、

やはり苦痛の時に幸せがあったこと。

思い出すよ、

希望があることで笑顔で居られること。


味わってるよ、

あの時の幸せは心の奥底に生きていること。

頑張ってくよ、

幸せでいられる苦痛の中での僕だ。


思い返す苦痛を遡ってみると、

痛み止めのような苦痛であろう。

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