思い出にオモサ
脳は船みたいに、
体を載せた船だ。
重さの一つ一つを載せた船だ。
見てきたものに、
通り過ぎた景色、
広い海の底にも、
広い蒼天にでも、
謎だらけなんだ。
それでも綺麗だったんだ。
そのすべてを
心にしまって走らせる船
波に乗りながら前進し、
波に揺られながら引き下がる。
風をも、津波をも
怖く思ったままで船は進む。
世という謎の世界を進む。
希望に期待しながら、
怖い予想にも屈して、
進む船は謎の世を走り、
石を拾い、進んでいった。
石のように重かった思い出は
心の隅々まで染み渡る。
そして、思い出は重さに変わり、
僕の船に重い石を載せて
僕の船を走らせる。
そんなある日なんだ。
爽やかな風に頬を撫でられながら、
船が容赦ない現実の嵐に
飛ばされて、つぶされた。
だがね、
いいんだ。
僕は新しいエピソードを切り開き
新しい風に出会う。
沈んだ船と綺麗に磨かれた石を失っては
心を磨いていく、心を強めていく。
新しい風に出会っては
新しいエピソードを切り開くように、
つぶされて、重い石が海に戻る。
海の底の殻と骸骨とともに生きる。
顔は、常に新しいエピソードに
目を走らせる。
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