5

 狩人が街道でゴブリンと邂逅した頃。


 夜が更けるまで潜伏していた山賊の集団が、誰に気づかれることなく町に侵入していた。


 門番は道具屋の若女将を搬送するために持ち場を離れており、門は素通りだった。


「楽に入らせてもらえたのはいいが、結局ゴブリン共は来やしねーな。おい、奴らに暴れさせて、その隙にちゃっちゃと金を頂くスマートな作戦はいつ始まるんだ」


「うるせぇ。肝心なことは自分の手でやらなきゃいけねぇってことだよ」


「ったく。わざわざゴブリンを首を吊し上げて、内臓を引きずって歩いてきたってのに無駄骨かよ。……と、こんな夜中に集会のようだぜ」


 山賊たちが行き当たったのは、診療所の前に集まる町民たちだった。門番からの一報を受け、町長を始めとした面々が即席の会合を設けていた。


「見ろよ、あの狼狽えっぷり。案外、ゴブリンどもの動きを察知してるのかもしれねぇな」


「なら都合がいい。もぬけの殻になってる家で仕事を済まして、ずらかるとしよう」


「おじさんたち、なにしてるのー!」


 夜更けに動き出した大人たちを追ってきた子どもは、浮かれた祭りの余韻そのままに山賊たちへ声を掛けた。


 その呼びかけは、町長たちの耳にも充分に届いた。

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