7件目:6番街のアヴァール

Bienvenue à tous

 やぁ。また会ったね。


 ん? 覚えてない? 酷いなぁ。僕だよ僕。

 あー、いや、違うな……今は「俺」か、俺だよ俺。

 どこぞの底辺詐欺師じゃないよ。その辺は保証する。


 えっとね。

 実のところ、僕や俺はどこにでもいたし、どこにもいなかった。

 今までの物語のどこにでもだ。


 ただ……俺の相棒がさ、そろそろちゃんと活躍したいと駄々をこねてて。

 そんなわけで、究極にとびきり面白いことを思いついたんだ。



 なんだっけ。4番街のアンべシルとかいう愚か者が主人公なんだっけ。


 あいつらさ、ぶっちゃけどうなの。ちゃんと主人公やってんの?

 ただただ街を破壊すりゃいいとか、それっぽく街を走り回ってればいいとか、そんな風にしか考えてないだろ。馬鹿だからしょうがないけど。


 世間を騒がす「大泥棒・強欲アヴァール」の方がスリリングでミステリアスで面白いなぁ、とは思わない?


 いや、まぁこれでも大変だったんだぜ。

 厳重なシステムがっちがちの博物館からアイオライトを盗み出すの。

 あぁ、あの6番街のお嬢ちゃんからアメジストを奪うのもなかなか大変だったけどさ。

 あれ、結局はニセモノとすり替えておいたんだよな。グレーズって騙しやすいから。

 それに、教授は気付いてないみたいだけど、マグネシウムの量を増やしたのは俺らだ。

 警察署で起きた強盗の発砲は違うかな。近くにはいたけど。あんな愚かなことはしない。面白くないし。


 他にも、各街に散らばった天然の宝石を探して集めているんだが……別に、集めたからといって何か巨大な力を得るとか、願いを叶える何かが起きるとか、そんなのないけども。


 奪うのだけが楽しい。それが泥棒の性というか。それだけなんだ。





 うん、だからさ。この物語も盗むことにしたんだよ。

 ニセモノにすり替えといたんだ。




「?#_@a☆v*◎¶A☺︎︎r″E」っとね。





 はっはー!

 どうだ、凄いだろう? 全部盗んでやったぜ。


 しかも、なーんか、アイオライトを取り戻す? みたいな? そんな流れになってるようだけど。タイトルまで盗まれてカワイソーだね。はははっ


 あいつら、取り戻せるかなぁ……そもそも、気づいてくれるかなぁ……


 ま、馬鹿だから期待は出来ないかな。



 あー……

 うん、そろそろ相棒のとこに行ってくるよ。あいつ、俺がいないとうるさいんだ。



 それじゃ、また遊ぼうぜ。

 次は……そっちの時間だと2018年2月9日、なんだっけ。あ? 違うか。来週だから、16日だった。


 またおいでよ、ここに。次は相棒も呼んでくるから。16日のいつかの時間にまた来るよ。



 じゃあね〜♪


 Au revoir!

 

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