馴染みの店で昼食を
第12話 レッド・ウッド・ダイナー
俺 ”ビリー・アボット” はジャスパーの車に乗ったのだが、アパートの前までやって来て何故かヤツは車を止めた。そうして当たり前の様にこう言って車を降りやがった
「着いたぞ。さあ下りて一階の
俺は疑問に思い、ジャレットと一緒に車を降りながらヤツに質問した
「駐車場に行かないのか?」
「先ずは新人さんに建物の外観を覚えてもらわないとな」
「まだやるとは決めてないわよ」
まだ不機嫌なジャレットの言葉に、ジャスパーはヘラヘラと答えている
「まあまあ、そう言うなってきっと気に入るぞぉ~。さて、ワイルド・ドック・アパートメント名物レッド・ウッド・ダイナーで食事だ食事!今日は俺が奢るからよ」
「
ジャレットが文句を言いたそうにしているをの無視し、俺は腹が減っていたので先にアパート一階にあるダイナー行くことにした。そしたら直ぐにジャスパーが文句を言ってくる
「おいビリー、置いてくな。レディ・ファーストって言葉知らないのかオマエは」
適当な事ぬかしてやがるので俺は反論してやった
「何でもかんでも女先に行かせるのがレディ・ファーストじゃないだろ、始めて行く店には男が先に入って女を招き入れるのがマナーだ。この店の雰囲気なら男が先に入って安心させてやる正解だろ? それに俺は腹減った」
「まったく、変な所で知恵が付いてんだからこの野蛮人は…。おら、俺が席を取ってやるからついて来い!」
ジャスパーはぶつくさ言いながら俺を追い越しダイナーに入って行った。ジャレットの方はまだ戸惑っているみたいだったので ”まあ、これから仕事仲間なるかもだし、少しは気を使うか面倒くさい” と思いながら声をかけた
「ほら、俺の後ろに居れば昔のギャング映画みたいに先に入った女が蜂の巣になる事はないぞ。なんなら手を繋ごうか?」
「いいわ、そのまま投げ飛ばされそうだし。それに後ろから撃たれるかも」
「ハッ、俺とジャスパーに挟まれるのがお好みかい? あいにく俺とアイツじゃ身長差がありすぎてむかないプレイだ」
俺の軽口に女が睨んで静かにこう言った
「変態…」
「見ての通りの
「いいわ、付き合ってあげるわよ。さ、行きましょ」
そういってジャレットは俺を押しのけズカズカとダイナーに入って行った。そして俺達を呼ぶジャスパーの声が聞こえた
「こっちだ!あんま長く入口に立ってると因縁つけられるぞ!早く来い!」
俺とジャレットはジャスパーが確保した席に座り、ウェイトレスが注文を来るのを待った。ジャレットは辺りをキョロキョロしながら一言もらす。それにジャスパーが軽口を言っていた
「ちょっと薄暗くてイカツイレイアウトだけど・・・普通のダイナーね」
「そう力むなよ肩の力を抜けって。たかが食堂で強張り過ぎだ」
そうやり取りしてる中にウエイトレスがメニューを持って来た
「お待たせしましたー♪ メニューをどうぞ」
ウエイトレスが人数分のメニューを何時もの様に配った。俺は置け取ったメニューをパラパラとめくり、俺のは返して先に注文した
「ウェンディ注文頼む。
「お酒は何時もの通りでよろしいですね?」
「ああ、頼む」
「かしこまりましたー♪」
俺の注文を聞いてジャレットが話しかけて来た
「あれで読めるの?」
「メニューは全部覚えてる、ただ変更がないか確認しただけだ」
ウエイトレスは笑顔でジャレットの方を向いて軽く接客し、ローラースケートで颯爽と去って行く
「彼の事は気にせずゆっくり選んでくださいね」
「はい、どうも…」
彼女はまだ戸惑っている様だ。どこか緊張してる様子でメニューを開きゆっくり選んでいる
「へー、よく分かんない物もあるけど、可愛いイラストで書いてあって美味しそうね」
「これ、さっきのウエイトレスが書いたんだぜ」
ジャレットの表情が和らぎ、ジャスパーと楽しそうに話している。俺も加わろう
「ウェンディは本当に絵が上手いぞ。前にこのダイナーで問題を起こした奴が居てな、その腕を生かしてソイツの似顔絵を書いて指名手配書を作った事が有ったんだ。特徴を上手く捉えててな、下手な写真より追うのが楽だったぜ」
「そう…ふぅん・・・見張り役もかねてるのね、ここのウエイトレス」
ジャレットの表情がまた曇ってしまった。何がいけなかったのだろう?俺は口下手だから黙っておこう、と考えている中に注文した物が届いた
「はい、厚切りステーキのキノコ増しソースと生ジョッキです♪」
「お、来た来た。じゃあお先にいただくぜ。モグモグ・・・」
俺が料理を食べ始めるとジャスパーがツッコミを入れて来た
「レディファーストはどうした?」
「そんな上等な店じゃないしいいだろ。ゴクゴク」
俺がビールを飲み始めると今度はジャレットが話しかけてきた
「良い飲みっぷりね」
「ビールは栄養価が高い、ミネラルの補給だ。ゴクン」
俺がビールを一気に飲み干すとウエイトレスが
「今日はお疲れの様ですね~♪」
と言って、手をクイクイっと動かしてどこかに合図を送った。そして・・・
「ブォン!」
ワインボトルが勢いよく飛んできて、ウエイトレスはそれを器用にキャッチしてテーブルに置いた。いつもながらいい腕だ。だがジャレットはそれを見て喚き始めたので適当に答えてやる。まったく面倒くさい奴だ
「そのワインは!?」
「ビタミンの補給だ」
「そうじゃなくてッ!」
ウエイトレスもめんどくさかったのか、ジャレットの言葉をさえぎる様に彼女に注文を確認した
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「あ、もうちょっと待ってください。メニューが多くて迷っちゃって」
「ごゆっくりお選びください♪ 空いたジョッキをお下げしますね~」
しばらくメニューを見て悩んでいたジャスパーが口を開いた
「すみません、バッファローシュチューとシーザーサラダ、あと白ワインください」
「かしこまりました~♪」
ウエイトレスは笑顔で注文をメモして、ローラースケートで颯爽と去って行く。ジャレットはその光景を唖然と見送った後、何かを振り払うように小さく首を振ってジャスパーに話しかけた
「バーファローのシュチューって美味しいの?」
「バッファローのコブの肉を使ってるんだ、なかなかイケるぞ」
「ふむふむ、私もそれにしよかな」
ジャレットはジャスパーの話を聞きながらもメニューを見て悩んでいる、と思っていたら俺がワインボトルに手を伸ばすとジャレットが俺を見て話しかけて来た
「グラスは?」
「必要ねぇ。ゴクゴク・・・」
ジャレットは何故かキョトンとした顔で俺がワインをラッパ飲みしてるところを見ている。そんんなにこの飲み方が気になるか? と疑問に思っていたらジャレットがくだらない事を聞いて来たので答えてやった
「あれ? ボトルの栓は?」
「何を言っている。届けられた時点ですでに空いてただろうが」
「投げた奴コントロール良すぎでしょ!!」
またジャレットが喚き始めた。あまり喋らないつもりだったのに、沢山喋ってしまったじゃないか。静かに食事をさせてくれ
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