第7話 天気は雨のち壁

 俺 ”ビリー・アボット” は仕事中に電話をかけられて女に軽くボコられた後、電話をかけて来た主であるジャスパーと話す事にした


「ゴメンじゃねぇよ!」


「悪い、急な仕事が入ってさ。なんか凄いグチャグチャ音してたけど大丈夫か?」


 めずらしく不安そうに話すジャスパーに、俺はバイクの銃座を確認しながら答えた


「俺がミンチになった音じゃないから心配するな」


「うわぁ、生きてんのかソイツ?…。女はどしたビリー?」


「逃がした、2人とも・・・よッ」


 銃座の機銃は非常時に簡単に取り外せるようになっていた


「ガポッ」


 俺はロックを外し機銃を持ち上げ銃座から外し、肩で電話を挟みながら淡々と会話を続ける


「その女の特徴は?」


「紫の髪の黒人と金髪に緑の瞳の白人」


「あ、それ殺っていい奴らだわ」


 いつもの調子に戻ったジャスパーの声に、頭痛をこらえながら俺は言った。正確には身体がのあちこちが痛くてどこが痛いのか分からない感じだが


「なんだやられ損かよ…。じゃあお目当ての女は?」


「ブルネットの女で小柄でスーツ着てる」


 ジャスパーの言う女に見覚えがある、あの女か。機銃の方は弾帯に電流流したせいでもう信用できない、どこかに予備の弾は・・・と女の事を話すと


「地下で縛られてた」


「本当か!じゃあもう殺った後か!?」


 いきなりジャスパーが大声を出しやがった。我慢して女の状況を知らせる


「ッ!いいや、なんか毛色が違ったんで放置してる。後でお前に確認するつもりだった」


 俺の答えを聞いてジャスパーは安心した様にため息をもらす


「ふ~ぅ、よかった。そいつは連れ帰ってくれ、詳しくは後で話すよ」


 具体的にどう運んでほしいのかジャスパーに聞く


「運賃はビジネスクラスかファーストクラスか? それとも貨物室?」


「ビジネスクラスで頼む。壊れても生きてればいい貨物室ってのはマズいが、媚びを売るファーストクラス必要は無い」


「わかった」


 あの女の処遇も決まり、機銃の予備の弾も見つかった。俺は機銃の弾を入れ替え残りの弾帯を身体に巻き付けた。一応交換用の予備の銃身をコートのベルトに刺して持って行こう。一応ジャスパーに仕事の内容を確認して立ち上がった


「じゃあ、当初の目的道り残りは殺らせてもらう。それで問題ないなジャスパー?」


「ああ、好きにやってくれよビリー。突然の契約の変更による迷惑料として報酬は30%上乗せする。もちろん女のお持ち帰り料金は別でだ」


「了解・・・」


「ガシャ」


 俺は機銃が壊れてないかのテストも兼ねてビルの天井にぶっ放した

 

「ダダダダダダダダダダダァン!ダダダダダダダダァンダダダダダダダダダァン!」


「じゃあ、俺は仕事に戻るから電話切るぞ」


「~~ッ!! おい!切ってから撃てばいいだろうが!急に大きな音を出すんじゃない!」


「それはお互いさまだ、キャンキャンしゃべりやがって。・・・お?」


 抗議するジャスパーと話してると何かが軋む音がしたので、俺は音の原因から避ける様に一歩下がった


「メキメキ・・・ドォオン!!!」


 俺が下がったと同時に機銃で穴の開いた天上が落ちてきて上の階に上るいい感じの坂道になった。俺は軽口を言いながらそこを上る


「上にまいりまぁ~す」


「このッ!後で覚えてろ…」

           「ピッ」

               「・・・・・」


 俺はジャスパーが何か言い終わる前に電話を切ってやる


「お、居たな」


 坂を登りきると腕を組んでポーズを決めるターデットらしき男が目に入ったので、俺は挨拶抜きで軽機関銃をソイツに向けて発砲してやった


「ダダダダダダダダァンダダダダダダダダダァン!」


「おろ? ん?」


 手ごたえが無いので撃つのを止めると、ヤツはハチの巣にされたというのに一滴も血を流して無い、よく見ればヤツの頭にデカデカと名前が書いてあった、アイザック・ジャクソンと


「カンカン、カラン・・・」


 下の階に落ちる薬莢の音が静かに響く中そんな事を思っていると不意に背後から叫び声だ響いた


「あぁぁ!!オレ自慢の等身大ポスターがぁ!!!」


 どうやら俺が今撃ったのはご本人では無かったようだ

 



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