第4話 誰これ? どうしよう・・・

 俺 ”ビリー・アボット” は廃ビルのチンピラを追い出す為に地下室を殲滅し、最後の1人が居るであろう奥の部屋の扉を蹴破り突撃を・・・


「ドガン!」


 ・・・したのだが


「んん!?んぐぅ~!!!」


 女が猿ぐつわをされ縛られてベットに寝かされている。なんか、他の連中と毛色が違う感じだ


「どうしよう・・・・」


 この感情をどう表現したものか・・・。小汚い野犬共を駆除していたら目の前に真っ白なプードルが現れた様な…、えーと、つまり…どういう事だ?


「ん~ッッ」


 こいつが最後の1人だとして、女が無理やり連れ込まれたら見張り屋が部外者だと気づくだろう。見張り屋が付く前から監禁されてるってことは無いよな、身なりが綺麗だし。つまり自らこのビルに入ったことになる、そこから導き出される答えは・・・


「商売女か…」


 まあ、売れない商売女が悪い男に引っかかってハードなプレイを強要されるなんてよくある話である。可愛そうだが、どんな理由であれこのビルを無断で使用しようとしてたなら駆除しなければ・・・


「んんッッ~!!」


 女の反応からすると違う様だ。ホントこいつ何なの?


「一応確認してみるか・・・あ」


 見張り屋に連絡を取ろうと携帯を取り出すとメールが来ていた ”リーダーの男が部下を2人連れてそちらに向かった 5分後そちらには到着すると思われる”


「5分前の連絡かよ・・・」


               ・

               ・

               ・


 ビリーが地下で女の睨み合ってる頃


「ブルルルルルン!」

 

 大型バイク3台が廃ビルの前に到着していた


「今日も相棒はご機嫌だぜぇ!ひゃっほぉ♪・・・・って何じゃこりゃあ!?」


 不良グループのリーダー ”アイザック・ジャクソン” はアジトの入口の惨状に驚きの声を上げた


「え、ええ!? 重機でも突っ込んだのかコノヤロウ! アヴィー!ヴァイオレット! ちょっと中見て来い!」


 アイザックは部下の女2人に命令して中を探索させた


「分かったわ!」


「了解だよ!」


「「ブルルルル!」」


 彼女達はバイクに乗ったまま中に入り中の様子をアイザックに伝えた


「うっわ、中もすっごいよ!」


「人間どころか銃もバラバラじゃないか」


 彼女達が中の様子をうかがってると地下へ続く階段から男3人が上がって来た


「あ、姉御!」

     「て、事はリーダーもご一緒で?」

             「頭痛てえから揺らすな…」


 アヴィーが3人組を発見して、彼らに質問する


「おい三馬鹿ぁ!これはどういう事よ!」


「血まみれのコートを着た大男が突然現れて」

      「立ち退きとか言ってましたね。近づくなと宣伝しろとも」

              「うわ…なんだこれ、下よりも酷でえじゃねえか」


「って事はそのふざけた野郎は下に居るんだね! ヴァイオレット!曲者は地下だよ!」


「分かった! 聞こえたぁアイザック!?」


「ああ、せっかくだ!新しい玩具試してやろうぜ! とっとと上に行くぞ!」


「了解よ! アタシはしばらくココで足止めしてから行くわ」


 アヴィーはバイクのホーンを数回鳴らした後に2人に親指を立てて合図を送る


「ブッルルルルルル!」


 アイザックとヴァイオレットはバイクに乗ったまま階段を駆け上がって行く


「ファアアン!ファァアン!」


             ・ 

             ・

             ・


 上のバイクが鳴らすホーンの音が地下まで届き、俺 ”ビリー・アボット” は上を向いて独り言をぼやく


「ファアアン…ファァアン…」


「クラクションを鳴らしやがって、誘ってるのか?」


「んん??」


 俺は縛られた女はほっておくことにして、上に向かう事にした。女を助ける義理は無いし、例え縄を解いて自力で逃げたとしても別に問題ないだろう


「ビビッてないなら見逃すわけにはいかないな・・・受けてたつぜ」


「ん~~~ツ!!!」


 女の何かを訴えかけるうめき声を無視して、俺は地下室の死体から武器を漁り準備を整え上に向かう事にした


「流石に銃壊し過ぎたか・・・なにか壊れにくい適当な道具の使い方を覚えないとな、バールとか」

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