ゝ(チョン)味村の人々

第5話

 後年、西の都よりさらに西方の村に戻ったウェルダとティアムは、東の都から来た旅人に、以前砂漠にある10戸足らずの小さな村に行った出来事を話すと、あの茫漠とした砂漠の中心に人のいる筈などないと言う。

 

「と言われても」

「ここは砂漠の真ん中だって言われたしな」

 ティアムとウェルダは首をかしげる。寺院だってあったのだ、二人はそこで護符を貰い村に帰れた。



 旅人も首を傾げ、それからこんな話をした。


 の地には仙人せんにん伝説というのがある。神通力を持ち不老不死を体得した者を言うが、ただ死なず生き続ける人がこの世に千人せんにんはいるのだ、という言い伝えが本来だ。

 彼らは人の立ち入れない土地に里を作り、時折そこで安息するという。



 その村は砂漠の真ん中に、まるで筆先で点をつけたようにあった。


 村の名をゝ(チョン)味村という。


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