　「うりゃぁぁぁぁ！！！」

　カモシカのマウシイは雌のミミカに襲いかかった野犬に思いっきり突進して、角で突き飛ばした。

　もんどりうって転がった野犬は、歯をむき出してマウシイの後ろ脚に噛みついた！

　「マウシイさあぁぁぁぁん！！！」

　ミミカは悲鳴をあげた。

　マウシイは必死に後ろ脚の野犬を振り払った。野犬は雪原を転げ落ちるが、体制を直ぐに立て直した。

　マウシイの後ろ脚は血がにじんた。更に寒さで痛みが増して、立てなくなった！

　血に餓えた野犬は弱体化したマウシイのはらわた目掛けて、歯をむき出して突進してきた。

　「いやあああ！もうだめだあああー！」

　ミミカは、目を背けた。

　その瞬間、あの赤い実・・・

　いや、赤い、しょうが抜けかけた風船がマウシイと野犬の間にわって入った！

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