8#カモシカをつける者

 吹きすさむ豪雪の中、カモシカのマウシイとミミカは飛んでった風船を探して山の中を歩いた。


 しかし、辺りは白一色で前を歩けないくらいだ。


 鼻をヒクヒクさせて辺りの匂いをかいだ。


 仄かに風船のゴムの匂いがするかと思ったが、ただ鼻の穴から寒さで白くなった息が出るだけで何も匂いがしなかった。


 マウシイは鼻の穴に雪が入ってムズムズして、くしゃみが出た。


 しばらくして


 「・・・・・もうこんだけ探しても無いから諦めるよ・・・・ミミカ・・・・自分のわがままに付き合って迷惑かけてごめんな・・・」


 マウシイはうつむいてボソッと言った。


 すると突然、ミミカが突進して角で小突いた。


 「あんた何言ってるのよ!ふざけないで!!あんたが言い出したんだからちゃんと責任持ちなさいよ!!」




 ミミカは凄いけんまくだった。




 「・・・別にそういうことじゃ・・・」


 「そういうことって何よ!」


 2頭のカモシカの大喧嘩が始まった。


 雄雌関係なく、まるで雄同士の戦いだった。


 マウシイは大泣きしていた。止めどない涙が寒さで凍っていた。




 ウ~バウッバウッ!!




 いきなり一匹の餓えた野犬が飛び出してきた。今さっきから2頭を付け狙っていたのだ!


 野犬は突然転がってたミミカに襲いかかった。


 あ!危ない!!


 

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