7#風船を見たカモシカのミミカ

 「風船って私好きだわ!あれね、遥か向こうの街にいる人間がゴムという伸びる袋に軽い空気を詰めるの(ミミカはふぅ~とほっぺたを膨らまして息を吐いた)」


 「人間が?!」




 マウシイは人間が怖かった。




 何故ならマウシイの母親は人間の車に跳ねられて事故死したからだ。




 「でもね、風船って尖ったものをつついたら・・・パーン!!!」ミミカは大声でいった。


 マウシイはびっくりして、脚を崖から踏み外しそうになった。「ごめん!」ミミカは誤った。


 「って鉄砲のような音がするよって小さい時、私の母さんが教えてくれたわ。私、あの時風船を崖下に見つけて取ろうとして、母さんがそれを手伝ったの。

 その時教えて貰ったの。でも、母さん脚を滑らせて・・・」ミミカはわあわあいきなり泣き出した。 

 



 マウシイはまたびっくりした。


 「僕もミミカさんも孤児同士だね・・・」




 ミミカは泣きながら


 「風船を見ると母さんを思い出すの。だからとても好きなの。風船は母さんそのものなの・・・」


 そうだったのか・・・マウシイももらい泣きした。


 「そうだ!マウシイさん、一緒にあなたのいってた赤い木の実・・・じゃなくて赤い風船探しに行こう!」


 「え?一緒に?行こーかぁ!」




 吹雪の中、赤い風船を探す2頭をさっきからつけていく光る目があった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る