4#カモシカ、風船を探す

 カモシカのマウシイは不注意でつい離してしまった赤い木の実・・・いや、風船を探した。


 しかし辺りは吹雪が激しく、まともに歩けなかった。


 「あの大きな木の実はどこいっちゃったんだろ・・・怒って逃げ出したのかなあ。」


 マウシイは涙目で空を見つめた。一面の灰色と白すぎる豪雪のみ見えるだけだ。


 空ばかり見ていたので脚元に気が付かなかった。カモシカのマウシイは岩につまずいて崖から墜落した。


 幸い、積もった雪がクッションになり、体はすり傷だけで済んだ。


 でもカモシカのマウシイの心は風船をなくしたことと、崖に落ちたことでもう

ボロボロだった。


 マウシイは大声で泣いた。孤独すぎて大声で泣いた。泣き疲れてそこで寝てしまった。




 このままではこの寒さで凍死してしまうというのに・・・

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