ユウヒ 《きょうかしょ》

これは思う。真実とはなんだ。真実の根拠はなんだと。あいつは今職を探しているらしい。なんでも、やりたいことが見つからないから延期だそうだ。馬鹿げていると思う。


俺は大学卒業と同時に医療関係の仕事についた。職場の人間とも良い関係を築けている。俺はあいつより勝っている。劣ってなどいない。そう、真実の元に。


22の時あいつの親友であり、俺の同級生が死んだ。病死だったらしい。あいつはひどく落ち込んでいたが励まそうと思わなかった。あいつにかける情けなどなかった。

あいつの親友の死は多くの人間が悲しんだ出来事だった。おれも残念に思う。あいつとは違い、物分かりのいい奴だった。話もよくした。

ただ、中身があるようで、すっからかんな人間だったとは感じる。あいつも同じだ。何も中身がない、空っぽな人間。


なぜ今頃になってこのことを思い出すのかわからないが、おそらくあの晩、あいつと会ったからだと思う。

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