第2話 王都

西暦2117年6月9日の木曜日、私は予定よりも1週間以上遅れてバイエルン王国の都ミュンヘンに到着した。学徒志願兵は王立第1歩兵連隊において、半年間の新兵訓練を、というのはうの昔。私が入隊した頃には3ヶ月に短縮されていた。肉体的苦痛を伴う期間について語る事は、この物語が喜劇に変わりかねないので省いてしまうが、私を含め同期者達は皆、特別操縦見習い士官になる事に期待をにじませながら、この試練を乗り越えて行った。

そして、遂にその日が来た。私は少尉に任官した。配属先はバイエルン陸軍省報道局の新聞班。第一歩兵連隊の駐屯地とは目と鼻の先で、戦地とは程遠い。まして筆を置き、全てを投げ捨て軍に入ったというのに、また筆を持つとはこれ如何いかなる事や?

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