第115話 枕詞?

 カクヨムの作品読んでるとちょくちょく遭遇するのが「作者毎の枕詞」です。


『○○が優しく微笑んでいる。』


 いや、どこもおかしくないんです。普通なんです。

 でもね、『微笑む』に枕詞の如く『優しく』が『毎回』ついてるんですよ。『優しく微笑む』で一つの単語になってる。


 裏を返すと「この作者は、微笑むときは優しい以外のシチュエーションを引き出しに持っていない」ってことです。

『静かに』微笑む、『柔らかく』微笑む、『穏やかに』微笑む、『涼し気に』微笑む……微笑み方なんか星の数ほどあるのに、この方の微笑みは『優しく』、それしかない。


 あとよく見かけるのが『大粒の』涙、『晴れやかな』笑顔、『とめどなく』流れる、などですね。

 なんでみんな涙が大粒なの? なんでその涙はいつだってとめどなく流れるの?

 さわやかな笑顔とか、含みのある笑顔とか、困ったような笑顔とか無いの?


 で、こういう枕詞は毎回付いて回るので鼻につきます。別の言葉で言い換えるなら「癇に障り」ます。2、3回ならさほど気にならないんだけどね、10回も出てくると「おいお前、語彙力!」ってなる。

 だってね、晴れやかな場面じゃないのに「晴れやかな笑顔を見せた」とか、作り笑いをしている時も「晴れやかな笑顔を作った」書いてるんだもん、癇に障るよ。

 やはり読者に気持ちよく読んでもらうには、その情景に合った描写をしないといけません。


 ですが、これ「無くて七癖」みたいなもので、自分ではなかなか気づけないものなのです。如月もきっとあるでしょう。

 あと、場合によっては『わざと』そうしていることもあるでしょう。読者にイラッとさせて印象付ける、そこからその言葉がキーワードになって行く。

 そういうのもあるので一概には言えませんが、明らかに語彙不足でそうなっている人が多いので、ここは自分でも気を付けたいところです。



 ……またシロートの分際で偉そうな発言をしてしまったようだな。

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