第91話 予定表
突然ですが、皆さん執筆する時に作業工程表書きますか? 私は書きません。書いてもその通りにならないので。
敢えて書くとすれば、簡単なクリティカルパスを引くくらいです。凄ーいアバウトなやつ。
私の友人に「何をやってもギリギリになる」人がいまして。その人が小説を公募に出すというので、ガントチャートを作ってみたらどうかと提案しました。その人は計画を練ってその通りに遂行するのは苦にならないタイプだからです。
結論から言うと失敗でした。
きめ細かいガントチャートを作ったことによって、『小説そのものが書きあがったような錯覚』を起こしているのです。
そう、世の中には「計画を作ったところで終わった気になる人」が少なからずいるのです。
***
友人の息子さん(当時高校2年生)。何をやらせても中途半端なところで手を抜く。
座右の銘は「やればできる」。自分で作った座右の銘は「やればできる、やらなければできない、オレはやらないからできない」、じゃあやれよ!ってツッコみたくなるような迷言です。
結局大学も、入試無しの2回ほど講義を受講すれば入学できるというところにスルリと苦労もなく入ってしまいました。ひたすらに彼の行く末が心配です。
何故彼がこんなふうに中途半端なところで手を抜いてしまうのか。
彼は元来真面目ないい子です。お母さんも変な人ではなく、子供をのびのびと育て、無理やり進学塾に入れるなどの強制は一切せずに、かといって無関心なわけでもなく、やりたいように勉強させています。
お父さんも公明正大を絵に描いたような方で、公序良俗に関しては厳しいのですが、他人に迷惑をかけなければ自分の責任で自由にせよというスタイルを貫いていらっしゃいます。
さて、彼は計画を練るのが得意でした。友人たちと何かのイベントを興す、旅行の日程を調整する、そういうことをやらせたらピカイチです。
実際そのイベントがスタートすると、完全に補佐に回って目立つことをしません。つまり計画屋さんなのです。
そして、それらはすべて計画通り完璧に遂行されて行きます。彼はそれを満足げに眺めるのです。
お気づきですね。計画した彼は動いていないのです。なのに成功する。
計画したら必ず成功するという体験しかしていないのです。
結果、勉強の『計画を立てる』、受験の『計画を立てる』、全て計画を立てただけで、自分では実行しませんでした。だって自分で動いたことが無いんだもん。
勿論惨敗です。そして冒頭で述べたような大学に、試験無しで入学しました。卒業してから大丈夫かな……と心配で心配で仕方ありません。
***
友人に話を戻します。
その方、きっちりチャートを引きました。そのチャートを引くのに物凄く時間がかかっています。チャート作ってる間に10,000字くらい書けただろうなというくらい時間かけます。
それはそうでしょう。全XX話(起XX話、承XX話、転XX話、結XX話)、段落ごとの文字数配分、それぞれの執筆日程まできっちり書いてるんだから。どうせその通りになんて進まないのに。
そして何より恐ろしいのは、計画表を作って満足してしまうのです。
「完璧なもの(作品じゃなくて計画表)が出来上がりました、見てください!」
「絶対面白いものが書ける気がしています!」
で、3,000くらい書いたところで「ああした方がいい、こうした方がいい」と新たな案が出て来る。それでプロットを変更する。書き直す。まあ、ありがちです。
問題なのはここで再びチャートを引き直す事なのです。しかもこのチャートづくりにたっぷり時間をかける。だからその間に10,000書けるって。
自分に合った日程管理の仕方というものがあります。
私の場合はこれだけです。日にちが明確に書かれているのは執筆終了だけ。
・○○日まで執筆(その後2日で全推敲)
・1ヵ月寝かせ
・1週間で全推敲→アップ
アップ予定の2ヵ月前までに執筆が終わっていれば、予定通りアップできます。
プロットが完璧でこれ以上変わることがないとわかっているなら、細かい設定の方がいいこともあるのではないかと思います。
プロットがアバウトで、キャラが勝手に動くのに任せるという人は、細かい日程を決めない方がいいような気もします。
これは人によってどれが合っているかはわかりません。
大切なのは『自分に合った日程管理を見つける』ことでしょう。
……今回はクロートっぽいシロート発言をしてしまったかもな!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます