第74話 ああ、勘違い

「今までン十年生きて来て、ずっと勘違いしてたまま気付かなかったぜ」って言う事無いですか? ありますよね? 私はあります。


 ええ、ついこの間まで『オルニチン』を『オルチニン』だと思ってました。マジボケです。

 折角なんで、もっと面白いマジボケなかったかなって探したんですけど、見つかりませんでした。自分に都合の悪いことはすぐに忘れちゃうようにできているらしいです。


 というわけで終わりです。

 ……またシロート発言をしてしまったようだな。



 ってわけにいかんだろ。

 というわけで、ワタクシの友人たちのネタを持ってきました。


***


 まずは手近なところでLINEグループのネタ。まあ、そもそも私はLINEとかメールとか大っ嫌いでして。4人で構成するグループがあるんですが、ほぼ連絡用のLINEグループなのに、なぜかその日に限ってチンコンチンコンとやたら鳴るんです。

 なんだろうと思ってみたら、私以外の3人が雑談してる……。しかもよく見たらデング熱について喋ってる。

 が? え? あ? 『テング熱』になってる!

 しかも3人ともナチュラルに『テング熱』と書いている!

 普段雑談に参加しない私も、この時ばかりは流石にチェック入れました。

「あんたら、テング熱じゃなくて『デ』ング熱だから!」

「如月に言われなかったらずっとテング熱だと思ってた!」

 ……誰か一人くらい気付けよ。


 ところがここでまたしても発覚。

 この中の一人が『ガウチョパンツ』を『ガチョウパンツ』と言い放ったのです。この方は以前にも『高速増殖炉』を『こうしょくぞうしょくろ』と覚えていて、『好色増殖炉』と脳内変換されてしまったことがあるので、まあそれに比べりゃ可愛いもんかという気もしますが。


 この『ガチョウパンツ』さん、まだあるんです。

 『グルコサミン』ってありますよね。あれを『グルコミサン』だと思ってたらしい。『グルコミ酸』と脳内漢字変換して覚えちゃったんですね。気持ちはわからなくもありません。


***


 そういえばカクヨムの作家さんでもたまに面白いネタを提供してくれる人がいます。ついこの前もありました。

『アニサキス』をね、『アニキサス』ってね。なんだかチンピラ同士の喧嘩みたいだよね、『兄貴刺す』とかね、警察呼ぼうか?


 いやいや、こんなのはまだかわいい。

 私の知り合いに凄いのがいます。


「ねえ、『ワヨウセッチュウ』って言葉あるじゃん。あれさ、『和』は和食、『洋』は洋食、『中』は中華、じゃあ『セツ』ってどこの料理なんだろうね?」


 ……いや、待て待て待て。『中』じゃないから『衷』だから。

『和洋』を『折衷』するんだから。料理じゃないから。


***


 身内にはもっと凄いのがいました。私の兄弟なんですが。

 小さい頃によく見た時代劇の影響ですね、丁半勝負の真似をして遊ぶわけですよ。カップにサイコロ二つ入れてね。


ヤツ「ツボかぶりますっ」

ヤツ「さあ、はったはった!」

如月「丁!」

ヤツ「半方ないか、ないか、ないか半方!」

如月「半!」(一人二役)

ヤツ「コマ揃いました」

ヤツ「勝負!」


 ここでカップをパカッと開ける。


ヤツ「魅力の半!」


 ……ちょっと待て、『魅力』じゃなくて『二六ニロク』だ。しかも『丁』だ、『半』じゃない。



 いや、いいんだよ。子供の遊びさ。しかしこれで終わるヤツじゃない。それこそが『如月家DNA』クオリティ!

 ヤツが東京に遊びに来た日の事を私は忘れない。うん、あれは半蔵門線に乗っていた時だ。ヤツは地下鉄に乗るのが初めてで興奮していたんだな。それはいい。

 事件は『三越前』の駅に着いた時に起きた。


「これは……越前えちぜん? 三越前さんえちぜん?」


 周りの乗客が肩を震わせて必死に笑いをこらえていることに心が痛んだよ。みんな済まない、私の身内です。すいません。

 って言うかね、「次は、三越前みつこしまえ三越前みつこしまえでございます」って言ったじゃん、聞いとけよ。


 まあね、私も京都の地下鉄で『九条』を『プジョー』と聞き間違えたけどね。「次は五条です」ってのを「次、沙悟浄です」って聞き間違えたしね。



 ……あれ? シロート発言と関係ない発言をしてしまったようだな。

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