第69話 地域性
えーと、基本的に首都圏を舞台にお話を書いているわけですが、それは勝手知ったる首都圏が書きやすいからと言うわけでして。
とは言え、ストーリーの都合上どうしてもキャラが関西圏に引っ越したりすることがあるのもまた避けられないといいますか。
そんな時に気を使うのがリアリティなんですね……。
如月、関西の文化をイマイチよくわかっておりませんが、大阪・京都の友人がゴマンといます。なので、関西人のキャラを書くときはその辺りの友人をモデルにします。その人の使う言葉やノリをそのまま書き込みます。
大阪人と京都人って、ビミョーに違うんですよね。あれが面白い。勿論、関東人と関西人ほどの違いではないんですが、決定的に何か違うんですよね。
京都の友人で面白い方がいます。この方、なんでも『お』と『さん』をつけるんです。年配の方でもないんですよ、四十代の女性です。
おネギさん、お醤油さん、おミカンさん、お揚げさん。関東なら醤油の発音は真っ直ぐですが、この方は『しょ』にアクセントがついて『う』では下がります。ミカンは関東なら『み』にアクセントですが、この方は『か』にアクセント。
小説の世界ではアクセントが関係ないのでどうでもいいことなんですが、『お』と『さん』が付くのはかなり関東人には新鮮です。
大阪も北部と南部で「そやな」だったり「せやな」だったりする。
世代によっては「おおきに」だったり「ありがとう(『と』にアクセント)」だったり。
関東で「背が高い」というのを、関西では「背ぇが高い(『た』にアクセント)」とか。
言葉そのものが変わるものもあるんですね。『カボチャ』が『ナンキン』になったり、『春菊』が『
『油揚げ』は『うす揚げ』、『がんもどき』は『ひりゅうず』(しかも京都では完全『ひりゅうず』なのに対し、大阪では『ひろうす』とも呼ばれる)。
これは九州で『さつま揚げ』を『天ぷら』と呼ぶようなもので、関東の人間は『天ぷら』と言ったら具(ネタ)に小麦粉の衣をつけて油で揚げたものを言いますね。もう全然別物じゃん。
博多の人が『さつま揚げ』って台詞言ったらダウト、京都の人が『油揚げ』って言ったらダウト、関東人が『菊菜』って言ったらダウト。
尊敬語にも地域性が出るらしく、『(誰かが)~している』を関東では「~していらっしゃる」「~されている」ですが、関西では「~してはる」「~したはる」これも北部と南部で違うらしい……。
その度に京都と大阪の友人にメールするんですね「そこって『~してはる』って言う? それとも『~したはる』って言う?」みたいにね。如月、だいぶ迷惑なやつと化してますね。すいません。
『I my me mine』で新潟のネタが出てきます。新潟のB級グルメに『イタリアン』というものがあるんですね。焼きそばの上にミートソースがかかってるんです。これが旨いんだ。ドリンクつけてもワンコインでお釣りがくる。
ただ、小説の中で『イタリアン』って書いちゃうと、どんなものかわからない。そこで『イタリアン焼きそば』って書いたんですよ。そしたら新潟の読者から「イタリアンはイタリアンなので、焼きそばがつくと違和感がある」と言われまして。
確かにそうなんです。自分でも違和感アリアリで書いてるんだもん。
で、結局『イタリアン』に戻しました。自分が気持ち悪いものは書いちゃダメですね。
やはり地域性のあるものを書くのは難しいですね。って、単なる独り言かい!
やれやれ……またシロート発言をしてしまったようだな。
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