第45話 登場人物の数

 私の友人Nの初投稿作品、なんと登場人物が100人以上います。200人くらいいたかもしれない。もうわからん。とにかくいっぱい。

 仲良しのお友達なんでね、そこは遠慮なく言いました。


「なあ、すまんが、もう毛玉妖怪しか覚えてねえ……」


 水戸黄門やアンパンマンのように、毎回ゲストキャラが出てくるような形式で、前回出てきたお代官様はもう忘れて貰って結構です、というならいいのですが、完全に忘れたころに出て来られると「こいつ、誰だっけ?」からスタートです。

 更に、人数が多くなることによって『見分けがつかなくなる』『キャラが被る』『名前が被る』という弊害が出てきます。

 人間関係も複雑になりすぎて、誰と誰が血がつながっていたのか、誰が敵で誰が味方かわからなくなってしまいます。

 その小説を読むための攻略本(相関図と設定集)が必要になってきます。

(因みにN氏は既に改稿しています!)


 では、一体どれくらいまでが適正な数と言えるのでしょう?



 まずは、『一人称』で考えてみましょう。

 私の処女作『P-WORLD』ではメインキャラが8人です。この8人がVRの世界に閉じ込められるわけですが、この人たち、全員一人称が違います。


ワンコ :ワンコ

ツチノコ:ワタクシ

くるめ :うち

お嬢  :あたし

ワラシ :僕

ジンギ :俺

ツル  :ワシ

先生  :私


 これで会話が続いても、誰が話しているのかがわからないという事態は避けられます。

 更にこの人たち、話し方に特徴があります。


ワンコ :赤ちゃん言葉

ツチノコ:丁寧語

くるめ :筑後弁

お嬢  :上から目線の命令形

ワラシ :関東標準

ジンギ :関西弁(お調子者系)

ツル  :関西弁(ちょっとガラ悪い系)

先生  :文語体


 私にはこれが限界。これ以上キャラが増えたら、読者さんが混乱するのは避けられません。



 次にキャラの『性格や口癖』で特徴を出すパターン。

 如月にしては極めて珍しいハイファンタジー『Dragon Palace』。


 パーティメンバーの5人が、この場を仕切っている男に『了解』の返事をする第91話のシーン。同じ『了解』でも全員違います。


「直ぐに言え、いいな?」(総司令官)

「はあい」(漁村の子供)

「わかりました」(エルフの王族)

「あいよ」(盗賊)

「りょーかい」(遊び人僧侶)

「承知した」(近衛兵隊長)


 実際にはカッコ書きはありません。が、いくらなんでも漁村の子供が「承知した」とは言わないし、エルフの王族が「あいよ」とは言いませんね?

 このように、それまでの口癖や話し方から、誰が話しているかわかるようにしています。

 

 こんなふうに、一つの言葉(この場合『了解』)を全員が一斉に言ったとしても、全員が異なる言い方をするくらいにキャラを作り込むので、それができる限界の人数で設定しています。



 上手な人はこれをうまく組み合わせたり、地の文を工夫したりして、もっと大勢のキャラクターを自在に操るのでしょう。そしてそれが『適正な人数』となるんだろうなと思います。

 が、如月はシロートなので上に書いたくらいが限界なのです。これより増やすと、もうただひたすらに『読者に不親切な小説』になってしまいます。 

 やっぱり、読者さんがいて初めて小説に小説としての価値が生まれる、そう思えば、読者さんのストレスになることはなるべく排除したいですよね。

 う~ん、言うのは簡単なんだけど、やるのは難しいんだよなぁ。



 はぁ……また今日も例に漏れず、シロート発言をしてしまったようだな。

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