……またシロート発言をしてしまったようだな。

第44話 縦書き（２）

　はい、続きます。想定外に書籍化が決まってしまった時のお話です。

「自分、そのうち書籍化しそうな感じだわ」という方にはお勧めしたいことがあります。

　今のうちに書籍化作品を買って、カクヨムの元原稿と比較せよ！

　……あ、如月芳美大先生の『いちいち癇に障るんですけどっ！』がお勧めです。

　イタイ冗談はさておき。どなたかの書籍化作品をお持ちでない方のために、如月の『いち癇』で解説しちゃいましょう。

＊

　第１話、恐怖の神崎メールの内容がこれ。

『4月13日13:47:02のメールの件、旋回駆動ユニットの限界値を超える可能性があります。資料番号6Y-70-8、部品番号39-21A、39-45Cです。ご確認の上連絡願います。機械設計G　神崎』

　書籍の方では全部縦書きです。

『４』はそのまま、『13』は一文字のスペースに『13』とそのまま入れて縦書き。『13:47:02』『6Y-70-8』『39-21A、39-45C』は横倒しです。エライ騒ぎです。

　そして、短い英単語。

　第42話、ミスター浅井の一人称は『me』なんですが、これ縦書きにしたときには『m』『e』と縦に並べます。

　『Mr.ミドリ安全』も『M』『r』『.』を縦に並べてから『ミドリ安全』です。

　次に数字。

　二桁までなら横並びに一文字分に入れられます。上の恐怖の神崎メールの『13』がその最たる例です。

　しかーし！　それ以外はほぼ漢数字を使います。例えばこれ。

「神崎さんて身長何センチですか？」に対する答えが違うのです。

・カクヨム版「182ですが。何か？」

・書籍版「百八十二ですが。何か？」

　小数点だってありますよ！

・カクヨム版「うん。よし、3.6Km行くぞー」

・書籍版「うん。よし、三・六キロ行くぞー」

　アラビア数字が使えないと大変な事になります。その最たる例がこれ。

・カクヨム版

「幼虫期平均300日、成虫期平均200日、トータル平均寿命約500日、一度に産卵する卵の数20～30個、一生のうちの産卵回数約20回、平均サイズ25mm～40mm、移動速度秒速約100cm……」

・書籍版

「幼虫期平均三百日、成虫期平均二百日、トータル平均寿命約五百日、一度に産卵する卵の数二十～三十個、一生のうちの産卵回数約二十回、平均サイズ二十五ミリ～四十ミリ、移動速度秒速約百センチ……」

　数字が増えれば増えるほど、中国の文書のようになって行くのです。

　さて、ここでお気づきの方もいらっしゃるでしょう。

　アラビア数字が漢数字になることで、単位の書き方も変わるのです。

　『25mm～40mm』の数字部分だけを直してしまうと『二十五mm～四十mm』となってしまい、なーんか変な文章になってしまいます。そこで単位も『mm』ではなく『ミリ』とカタカナ表記にする必要が出てきます。

　同じ理由で『3.6Km』も『三・六キロ』になっています。気づいた？

　単位は『％』は『パーセント』に、『￥』『＄』は『円』『ドル』に、『㎏』『g』は『キロ』『グラム』に、時刻表記『00:00:00』は『〇時〇分〇秒』に。

　『！』は一つならいいけれど『！！』になると、縦に二つ並べられてしまいます。どうしても横に二つ並べたければ『‼』を使うしかありませんが、作品によっては軽くなりすぎてしまいます。

　同じ理由で『！？』も縦に並べられてしまうので、『⁉』と一文字に入れるように指定するか、『？』だけにするか選択を迫られます。

　私は『！！』は『！』に、『！？』は『？』に調整していただきました。一文字分のスペースに二文字入れるのはあまり好きではないからです。これは作家の好みなので、どちらでもアリだそうです。

　あと、「えー！」などの「ー」これ（オンビキと言います）を縦書きにすると、オンビキも縦棒、『！』も縦棒であまり見た目が良くないというか、まあ、書いてみればわかりますが、見た目の感覚もかなり変わるので、縦書きを想像しながら書くのもいいかなとは思います。

　結論言っちゃいますと。

　紙書籍にする気があるのなら、最初から縦書きを想定して書いた方がいいです。いやほんとマジで。私『いち癇』出してからというもの、書籍化の予定も無いのに縦書きを想定して書いちゃってますからね、どんだけ苦労したんだよって感じです。マジで地獄でしたから。同じ轍を踏んではいけません！

　あ、でもね、縦書き用の書き方で横書きの投稿すると非常に読みにくいので、カクヨム上では横書き仕様、バックアップは縦書き仕様を（も）残すことをお勧めします。

＊

　書籍化決まって、ある作家さんに言われたんですよ、「サイン決めてますか？」って。それまでサインの存在忘れてました。

　私に声をかけてくださった方は何年も前に書籍化なさった方で、その時「別にサインなんかどーでもいいや」と『年賀状の宛名』のように書いたのだそうです。そして、今それを死ぬほど後悔していると。「中古の本屋さんで自分の恥ずかしいサインの入った本を見つけるところを想像してください」と言われたときに、その意味を正確に理解して焦りました！

　それを聞いてから、自分の失敗談はなるべく公表した方がいいと思いました。それでこれを今書いてるわけですが……これ、誰かの役に立つといいなぁ。

　……今日もまたシロート丸出しの発言をしてしまったようだな。