第19話 書評を貰う

 「書評書きます」っていうの見たことありますよね。私もそういう方にお願いしたことがあります。

 あれ、ほんと凄いことだと思います。読むだけでも何時間もかかるのに、それに対して良いところ悪いところを拾い上げ、更に改善の余地のある所にはどんな改善をしたらいいかという提案までしてくれる。この方、私のこの作品のために、一体何日の時間をかけてくれたんだろうと思うと、もうほんと足向けて眠れませんね。


 実は『P-WORLD(当時55万字)』『Dragon Palace(36万字)』『いちいち癇に障るんですけどっ!(33万字)』を立て続けに読み、全てに書評を書いてくださった方がいらっしゃいます。私にとってこの方は神様扱いです。フツーに神です。

 とっても細かいことまで書いてくださいました。当時(と言っても1年前だけど)、全く小説の書き方がわからなかったので三点リーダを中黒で書いてたんですよ、それくらいの超ド素人の無駄に長いだけの作品に、丁寧に一つ一つ書いてくださいました。ありがたいですね。神です(大切なことなので二度言いました)。



 私は「書評書きます」なんて言ったことありません。書けないもん。無理。

 それでも『いち癇』が出てから、「書評お願いします」と言われることがちょこちょこ出てきました。勿論「書評は書けないので、感想と気になったところくらいなら」という条件で、何件か感想を書かせていただきました。


 自分で書いてみるとわかりますね、書いてくださる方のありがたみ。身に沁みますね。じーん。涙。


 5千字くらいの短編に2万字(4倍ですね)の感想を書いたことがあります。その方は「世界の文豪に喧嘩を売るつもりで小説を書いています」と仰ってました。だからそのつもりで心して読みました。

「どんなことを言われても全て受け止めますので、遠慮なくダメ出しお願いします」と仰ってました。だから悪い癖などもきちんと指摘しました。


 たかだか5千字に丸一日費やしました。そりゃそうですよ、「打倒、川端康成」「打倒、夏目漱石」とか言ってる人なんですから、私のような素人がそんな人の文章にダメ出しするんですよ、そりゃあ正座して真剣に取り組みますよ。


 結論から言います。逆ギレされました。あれれ?

「そんなことあんたに言われる筋合いはない」

「他の人は褒めるのに、何故私はダメ出しされるんだ」

「あんたは人にダメ出しするほど偉いのか」

 ……あれれ、ダメ出ししてって言われたよね?


 褒められたかっただけなんですね、要は。

 なんだかとても虚しかったです。

 


 他の事例ですが、「書評書きます」と言っている神のような方がいらっしゃいまして。そこにお願いしている方がいるわけで。

 その書評を読ませていただきました。流石に実力で本を出されている方は、書評も内容が濃く、読んでいるだけでとても勉強になります。

 書評を頼んでいた方も礼儀正しく、丁寧にお礼を言って改稿に励まれていました。ああ、これがあるべき姿だ、としんみりしたものです。逆ギレされた後だっただけに余計にね。


 ところが、一つだけ残念なことがありました。

 その依頼者が他のお友達のノートで「ダメ出しされて、今、立ち直れずにいる」と書き込んでいるのを見てしまったのです。

 それはそういう事もあるでしょう、でも、人目につくところに書いて欲しくありませんでした。もしも書評を書いた方がそれを読んだらどう思うでしょうか。

 自分の書いたダメ出しで立ち直れなくなっているのを目の当たりにしたら、もう書評を書くのはやめようかと思うかもしれません。私なら思います。



 書評を書いてくれる人は、作家同士のことなので、尋常ならざる気の遣い方で文章を構成してます。

 その作品に丸一日使って頭を悩ませ、相手が傷つかないように言葉を選び、言い回しを考え、適切な単語を適切な箇所に入れることで意図が正しく伝わるようにと、途轍もない労力を注ぎ込んでいるのです、赤の他人の作品のために、です! 


 その労力がわからないなら、他人に自作品のダメ出し頼むのやめようよ。

 まずは自分が誰かの作品の書評やってみなよ。

 他人の作品の書評を受け付けている人を私は尊敬します。ほんと尊敬します。

 私はぜーーーーーったいにやりません。どんだけ頼まれたってやりません。二度とやりません。



 ……またシロートわがまま発言をしてしまったようだな。

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