第65話 誤変換(1)
昔は利用者のよく使う言葉をPCが学習してくれるなんていうありがたい機能が無かったので、漢字変換もある程度パターンが決まっていたものですが。今はある程度その端末の利用者の傾向によって使われる言葉が絞られ、端末自身がその傾向を学習してくれますよね。便利便利。
ただ、この便利も思いがけない効果(?)を生む訳で。同じ言葉でも使う人によっては全く違う言葉が出てくるのも、イマドキの端末ならではの楽しみです。
特に私の場合、ちょっとフツーじゃない変換が当たり前のようになされることがありまして。ひとえに端末利用者である私がそのような変換をしているからに他ならないのではありますが。
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例えば『幻覚』。これ、書く人によっては『厳格』にもなるでしょう。でも如月は更に斜め上というか斜め異次元行っちゃってます。必ず『原核』が出ます。なんでやねん。『原核生物』ばっか書いてるとこうなります。
「げんかくをみた」で変換すれば「幻覚を見た」って変換されると思うでしょ。「原核を見た」ってシレっと変換されるんですよ。見るんかい、原核。
同じような理由で『称賛』もね。うちのPCだと『硝酸』が出てくる。どんな生活してんだ如月。
仕方ないんで「称賛に値する」で変換しようとすると、「しょうさんに」まで来たところで「硝酸ニッケル」って候補が出てくる。使わねーよ、硝酸ニッケル。
理系ネタ続きます。『要素』が『ヨウ素』になるのはいつもの事ですね。
『不確定要素』なんかわざと変換しない限り『不確定ヨウ素』にはならんだろーが……って思うでしょ? うちのPCちゃんはキッチリ後者で変換してきます。
不確定なヨウ素ってどんなヨウ素なんだろう。ヨウ素の同位体か何か?
ドナドナってありますね。あれの歌詞を書くときね、「子牛を乗せて」って絶対出ないんですよ。大抵最初は『講師』を乗せてます。講師売られちゃうんだね。人身売買じゃん。
気を取り直して次の候補を見ると、『孔子』を乗せようとしてる。いやいやいや、中国の人だし。もうおらんし。孔子を売るとか、罰当たりだし。
いつまで経っても子牛を乗せることができない。人身売買反対。
意図せずいろいろミステリーになることもあります。『茹で卵』が『茹でた孫』に。『結婚』が『血痕』に、『披露宴』が『疲労炎』に。『読みに行く』と書いたつもりが『黄泉に行く』になっていたりね。『恋に堕ちる』予定が『故意に落ちる』羽目になったり。
とどめは『私服警官』が『至福景観』になってるのね。なんかこれ幸せじゃん。『深く』反省したつもりなんだけど『不覚』反省ってもう意味わからんし。
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変換ミスでストーリーのジャンルが変わっちゃうこともしばしばあります。
水溶液の濃度がラブロマンスになってしまう例がこれ。
『濃いのと薄いの』が『恋の陶酔の』に。変換君、もはや天災レベル。
『某公園でサバイバル中、撃とうとして』が『膀胱炎で鯖威張る中、ウトウトして』。どっちに変換されても死にかける案件。
『今田、当番じゃん!』と男子生徒が言うだけのシーンが、『今だ、豆板醤!』と中華料理の師匠が叫ぶシーンに変わったら、もうグルメストーリー。
『暴走族』が『房総族』になった日には、地元のイイ話じゃないですか。八街ピーナツ、千葉県バンザイ。
「私、ハイネの詩集が好きなの」って女生徒の台詞が「私、ハイネの刺繍が好きなの」になれば手芸好きな女の子。これが『ハイネの死臭』ならミステリーになってしまうし、『ハイネの歯周』なら歯科大が舞台かな?
ああ、なんだかゲシュタって来た……。
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学園モノ、危険がいっぱい潜んでます。もう盛沢山。
『バスケしてくる』予定が『バス消してくる』ことになったら、ある意味主人公チート。どんな学園生活送ってんだよ。
『昨日説明したじゃん』が『機能説明したじゃん』ってのは、電子工学部の話かな。自作ロボットとかあんのね。
『東大京大、行って来た!』と報告する予定が『灯台兄弟、行って北!』と命令される羽目になったり。てか灯台兄弟って誰よ?
『俺もだよ』とただ同意するだけなのに『俺藻だよ』になると、男子生徒シアノバクテリア変異。更に『俺たち藻だよ』『私藻よ』『先生藻だ』なんてマジホラー展開。
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まあ、色々あるんですが、結構驚いたのがこれかな。
『書籍用改稿』→『書籍八日以降』。七日までどうせいっちゅーねん!
……またまたシロート発言をしてしまったようだな。
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