第7話 彼のダメなところを考えた

「振られた」

という言葉を聞くと、どうしても振られた方に非があるような気がしてしまう。私も例外じゃない。自分ばかりが悪いような気がしていた。

だけど、人と人のつながりなんだから、どちらかが100%悪い、そんなことはないはず。


失恋から立ち直る方法として、一つあるのは、彼のダメなところを思い出すこと。


喧嘩をしたり、怒ったり、不満があったり。

人間関係、しかも赤の他人なのだから、そうは上手くいかない。


私が我慢していた部分だってたくさんあるんだ。


まずは、女癖。

すごい浮気をするわけじゃないけど、酒を飲むとテンションが上がってしまうのか、女の子に対して距離が近くなっていく。私はすごく嫉妬をしたし、すごく不安も大きかった。

そのたびに心がグシャグシャになるような思いだった。

でも、別れてみたらどうだろう。私は嫉妬する必要なんてなくなるし、我慢だって必要ない。

だって彼とはもう関係ないんだから。

彼が今後、どんな女の子と一緒にいても関係はない。


もしかしたらすぐに彼女を作っちゃうのかも。そう考えるとちょっぴり寂しいのは事実。

でもそれもきっと、お互いの成長なんだ。


あと、励ますのが下手なところ。

私が落ち込んでいても、「頑張れ!」しか言えないし、励ますセンスがない。

何に悩んでいるのか、伝わってんのかな?なんて思うこともしばしば。だから私はあまり彼に相談をしなくなった。

彼自身もあまり弱音を吐くことがなかったから、そういうことに慣れていなかったのかな。

でも、私にとっての彼氏は、「辛い時に支えてくれる人」であってほしかった、というのも本当のこと。

寄り添って悩みを聞いてほしい、そんなのは女のわがままって思うかもしれないけど。

そういう小さなことが、人の心を支えてくれるんだと思うんだけどな。


そして、話を聞かない。

私が真剣に話していても上の空だったり、違うことをやっていたり。

元々自分が話すことが好きな彼は、話を聞く、ということが苦手だった。

付き合った最初は、私もあまり話さなかったけど、慣れてきたら自分の話をしたり、今日あった、なんでもない出来事を話したくなったりする。でも、中身が彼にヒットしなければ真面目には聞いてもらえなかったり、反応が薄かったり。

そういう寂しい思いもあって、余計ナーバスになって、彼女である自信もなくなっていったのかな。


こうやって、自分自身の事、彼の事、私達の事を、ちょっと距離を置いて見てみると、今まで見えてなかった、見ようとしてなかったことが浮き彫りになってくる。

それは少し怖いけれど、自分のこれからのためにはきっと役に立つことで。


私が我慢してた部分は、彼の悪い所、ではない。

私に合わなかっただけのこと。


ただ、それだけだけど、付き合う時には大事な私のポイント。

それが分かったのだから、きっと次があったら、もっといい恋をしてやるんだ。

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