そうして綺麗な三人はバカの家族となる



 現状に思考が追いつき、ゆっくりと息を整える。

 自分の人生がまだ続くことに安堵すると同時に、自分の間抜けさに苛立つ。



 資料には生み出したクローンの能力も書かれていた。

 その中には、既に一般常識が刷り込みがなされており、

 断片的だが複製元の記憶の一部持っていると書かれていたではないか。

 しかし、刷り込みがあったとしても経験自体を一切していない。

 つまり、判断基準が複製元の記憶しかないのだ。



 そりゃ見知らぬ部屋で目覚め、いきなり男が近づいてきたら、異能の一つでも見舞いたくなるだろう。

 しかも着替えもなく、全裸。勘違いされても仕方がない。



 二百年以上前の昭和初期。お硬い価値観が元になっているのなら当然。

 今話している彼女に助けられなければ、自分はこの世からオサラバしていたのだろう。



                    ・・・・

「敵ではなく、むしろ味方であると。説明は今しがた致しましたので、何卒ご無礼ぶれい、お許しの程を。」




 そう口にして、少女――時明ときあかり 小夜子さよこのクローン――は綺麗に頭を下げる。


 未だ頭を抑えて蹲っている少女の事は気にしないでおく。触れてはいけない気がした。


 その顔には少し辛そうな色が出ていたが、恐らく未成熟なままで異能を行使した代償だろう。

 資料に書いてあった彼女の能力を思い出し、納得する。





原初オリジン】「時戯じぎ


 解明不能な最高位の異能。

 

 本人が病で没した後も、これを超えるモノは出現していない。

 詳しくは知らないが、時を自在に操る反則能力だと言う。



 炎もそうだが、時を止めて話したのだろう。


 とりあえず幼い少女達の前で、これ以上呆けて居るわけにもいかない。

 着替えが在ることを教え、一旦落ち着く為にも別室へと向かい、未だ乱れている息を整える。



 ある程度落ち着いた頃、着替え終わった旨を伝える声が聞こえてきた。

 三人が待つ部屋へ戻ると、そこには可愛らしい衣装に身を包んだ少女達がいた。

 ゴスロリにカジュアルテイストにワンピース。



――いい趣味してるな、名も知らぬボーイよ。



 今しがた死にかけたにも関わらず、呑気な事を考えていると三人が揃えて頭を下げた。



「この度は助けて頂き、誠に有難う御座います」



「先程は誤って大変な事をしてしまい、申し訳有りませんでした」



「危ないところを有難う御座います。」



 先程動きを見せなかった青色の髪の少女もいる。


 改めて並んだ三人を眺め、記憶にある資料と照らし合わせた。





 長い銀髪が良く映える黒のゴスロリを着ている少女。

 一番衝撃が強かった人物。

 ほか二人に比べて一回り大きい。

 異能を制限するために発育を抑えられていた為か、造られた年齢より遥かに幼く見える。

 確か十四歳辺りだったはず。



 十二家じゅうにけ 時明ときあかりの【原初】時明 小夜子のクローン。





 その隣にいるのが、炎を出した少女だろう。

 少し長めの茶髪に、カジュアルテイストの服装がよく似合っている。

 こちらも同じく幼く見える。資料では十二歳前後だったと記憶している。




 同じく十二家、不知火しらぬいの【原初】不知火しらぬい あかりのクローン。





 最期に一番幼い、青髪を持つ少女。

 短めの髪と着ているワンピースと合わさってか、物静かな印象を受ける。

 おおよそ十一歳と記載されていたが、やはり資料より幼く見える。

 しかし、調整していたポッドから出た事で、これから実年齢に釣り合う様に成長していくだろう。




 こちらは十二家の前身、水戸川みとがわ家の【原初】水戸川みとがわ しずのクローン。





 それぞれが日本を揺らすぐらいの顔ぶれであるが、並んでいる分にはただの子供にしかみえない。




「とりあえず、頭を上げてくれ。少女に頭を下げさせてよろこぶ趣味はないんでな」




 ついでに座ることを促して、自己紹介をする。




「俺は遠野とおの あおい対策庁たいさくちょうの……あー、とは言っても知らない可能性があるか……。お前たちの時代でいう、特別高等警察とっこうみたいな所だ。そこの職員」



「はい。実際に見たことは無いのですが、存じております」



 小夜子の、いや、面倒だから銀髪でいいか。

 銀髪少女の答えに、安心する。日本の知識もあるらしい。




「では、改めて。危ない所を有難う御座います。えー……、時明 小夜子と申します」



「同じく感謝を、……不知火 灯といいます」



「私も、……水戸川 静です」



 一瞬躊躇ためらいながらも、オリジナルの名前を名乗った銀髪少女に続き、茶髪の少女、青髪の少女も、迷いを含めながらそれに続く。


 まあ、銀髪少女からあらましは聞いて居るのだろう。

 自分たちがクローンであり、研究の為に生み出された事を。

 断片的とはいえ、引き継いだ記憶すら自分たちの物ではないと。


 ある程度の知識があるが故に、名前すらも無い今の状態に不安を覚えているのだろう。

 その証拠に名乗った辺りから顔にうれいが見える。




「一応、自分たちの境遇は知ってるんだな」



「ええ、私はこの中で一番長く生きておりますし、意識がある時に色々と耳にしました。お時間もいただけたましたので、予め二人には説明はしております」




 銀髪少女の話を聞くに、彼女は一年もの間、あの研究所で生き残っていたらしい。

 運良く、異能の使える年齢に造られた事。

 早くに異能の制御に成功したことで、毒は劣化させ、代謝を加速して解毒。

 逆に加圧耐久は自身の時を止めることで身体の硬度を上げ、耐えたりと異能を使い必死に生き延びたみたいだ。


 しかし、投薬の実験の末、本来の黒髪黒目から色素が抜け落ちてしまい、銀髪、赤眼となったらしい。

 確かに俺の知っている容姿とは違う色をしている。


 だが、異能阻害の為、成長を抑えられて居ることもあり、

 十全に異能を使うことが出来ずに、脱出までは至らなかったらしい。

 まあ時を止めても身体が動かなければ意味はない。



 二人も本来なら、生まれて三ヶ月ぐらいの間に壊され、廃棄処分となるはずだった。

 しかし銀髪少女の力が、隣に届く様になった頃に生み出された為、なんとか生き残れた様だ。

 道理で毒を流し込まれた状況で、三人だけ無事だった訳だ。



「けど、そこまで力が増えたなら自分だけなら脱出できる可能性があったんじゃないのか?」



「なんといいますか。下らない意地みたいな物でして、どんな形であれ姉みたいなものですからね。それにオリジナルには妹はいなかったので、自分が残せるモノを見出したかったという私の我儘わがままです」




――正直、利口とは言えませんが。と自嘲する。




 しかし、その言葉の裏には確かな意志を感じた。


 自分自身の証明なのか、同じ境遇への同情かは分からない。

 不安や暗い未来しか見えない中で、必死で何かを残そうとしていたのだろう。

 今も少女が冷静でいられる要因を垣間見た気がした。


 望んでも手にできるものじゃない。

 強いのだろう、自分には眩しく見えた。

 一瞬、遠い日に見た背中が脳内にちらつくが瞬時に振り払い話に戻る。




「あー、それはそうと。お前らバカ正直に名前を名乗ったり、異能を使ったりしないほうがいいぞ。

日本じゃ少なくともお前らのオリジナルは英雄だからな。信じてもらえるもらえないにしろ。やめたほうが身のためだ」



 それに、と付け加え。



「お前ら自身、存在が既に戦争の引き金になる可能性が高い。お前らの境遇には同情するが、今の俺にはどうしようもできない。日本に行くにしろ、ここで生きるにしろ、出生や能力に関しては隠して置くことをおすすめする。まぁ、どうするかはお前達次第だがな。そんな訳で、ここが俺の限界だ。」





「それは私たちをお捨てになるということですか?」



 少女達の瞳が揺れる。残酷だが、事実でも在る。

 とうの昔に俺の手に余る範囲を超えているのだ。




「一公務員の限界なんてとうに超えてるんだ。ここまでたどり着けた事も正直奇跡に近い。もう一度やれと言われたら、どこかで失敗する自信がある。まあ俺と違って【原初】の異能があるんだ、生きていく上で、隠して行けば食いっぱぐれることは無いと思うぞ。まあお前らが望むなら支度金ぐらいならやらんでもない」





 見たところちゃんと頭も回るみたいだし、そこまで考えなしに動くタイプにも見えない。

 話し合ったのだろうか、他の二人も不安そうな顔をするが銀髪少女に任せることにしているようだし、ここで三人の内誰かが喚き散らしても状況が悪くなるだけというのを理解している。



 十分、この国でも隠れながらでも生きていけるだろう。

 成長して異能が十全に使えるように成れば自由も効く。



 それに合わせて一つの手を提示する。

 これに乗ってくれるなら俺としても楽なんだけどな。



「ちょっと、お手洗いと飲み物とってくるわ」


 考える時間も無いのは流石に酷だろう。

 そう思って立ち上がり、その場を離れる。



 飲み物を用意しようとして、棚を開けたらまさかの緑茶を発見した。

 ホテルの品揃えに関心しつつ人数分用意して、一息つく。


 頃合いを見計らって戻り、戻り備え付けのサイドテーブルに緑茶を配る。

 ベッドには三人が腰掛けて居るため、自分は椅子に座って緑茶に口をつける。

 いいホテルだけあって緑茶もいい香りだ。




 カップを置くと未だ手をつけていない三人に目が移る。

 結論が出たのか銀髪少女が口を開いた。




「端的に申し上げますと、私達を助けて頂きたいと思います」



「さっきも言ったが俺の限界はとうの昔に超えている。さっきの案じゃだめなのか?」



「はい、戸籍もなく、信用できる人もおらず、この姿です。住む場所、仕事を手にしたとしても、どの道近いうちに破綻はたんします。日本やこの国でも表で活動せざるを得ない以上、いずれ正体が露見してしまうでしょう。その際、後ろ盾や協力者がいないのであれば結局終わりです」



「それは俺といても変わらないぞ。俺に戸籍を用意できる力もないし。公務員っていっても所詮は国の歯車の一つだ。いざという時は簡単に切り捨てられる。むしろ俺を危険に巻き込んでるだけじゃないか?」




 当然の事実を口にすると、銀髪少女が席を立ちおもむろに俺の前で跪いた。

 簡単に言えば土下座である。

 三つ指の綺麗な土下座。



「貴方に私達がお返しできるものはございません。ですが、この未熟な身でよろしければ如何様いかように扱っても構いません。身のお世話でも、夜伽よとぎをせよと申されるならば、及ばずながら精一杯果たさせて頂きます」







――――ガタッ。







 なんとか椅子からずり落ちそうになるのを抑えて溜息を吐く。




 まぁ、最初から見捨てるつもりなんてなかったんだけど、

 まさかここまで言われるとは思いもしなかった。

 現状を改めて理解させて出来る限り目立たず動いてもらう為の、

 ちょっとした意地悪だったんだがな。


 どっちに転んでも生きていけるようには計らったし、

 後者の案の方が俺としては苦労がなくてよかったのは事実だ。

 助ける選択肢がないならこの部屋で匿ったりはしないさ。

 あの時、苦労を背負い込む覚悟は済ませてある。




 なまじ現状を俺の想像以上に把握した為、

 そんな考えが思い浮かばず、浮かんだとしても信じられないぐらい追い詰められているのだろう。



 確かに自分としても大人気なかった。生まれて長いのでもまだ一年だ。




 銀髪少女に習い、二人もこれまた綺麗な三つ指土下座を敢行する。





「頭を上げてくれ。俺はロリコンの……あー少女趣味はないから安心しろ。それに助けるための条件とかいらないから」




 頭を上げた少女達の顔には不安が揺れていた。




――――やっべ、やりすぎたわ……。




 昔に比べ大分擦れた自分に呆れつつ、出来る限り明るい口調を意識して続きを口にする。




「意地の悪いことをしたのは謝る。精神年齢はどうあれ、俺からみたらお前らなんて子供も子供。純粋に助けてだけでいいんだよ。助ける気が無いならとっくに見捨ててるさ。今の俺にはどうにか出来なくても、使いたくないだけでアテはあるから安心してくれ」




 上手く出来たかわからない笑顔が効いてくれたのか、三人の顔から不安の色が消える。

 しばらくして理解が追いついたのか、驚きと喜びの色が見えてくる。



 そうそう、子供なんてそれでいんだよ。

 小難しいことなんか考えずに周りに迷惑かけるぐらいで十分なんだ。

 大人になれば、嫌でもめんどくさい事を考えないといけなくなる。

 子供の内ぐらい楽しんだ所で罰は当たらないさ。



 まあやり過ぎはアカンが。

 十九の自分が偉そうに言えたことでも無いが、目の前にいるのは造られたとは言え、時代が時代なら親と子ほど離れているんだ。


 頼ればいい。頼られたら俺も男だ、頑張るさ。

 土下座をやめ、三人を座るように促して緑茶を口にする。



 ベッドに腰掛けた三人に――だから、と前置きをして。



「お前らは笑ってろ。それが一番似合ってる。理由はどうあれ、せっかく可愛く生まれたんだ。子供は異能や魔導なんて放り投げて、着飾きかざって、遊んでばかやって、楽しんで、遠慮なんか投げ捨てて迷惑かけるぐらいが丁度いい。将来はお前たち自身で決めることだが、それぐらいまでなら俺がどうにかできるように頑張るさ」




「こういう洋服きものも用意してたので、そういう趣味だと思ってました」



「違うからなっ!? 十八歳以下は法律にも触れるから! NGだから! それ用意したのホテルのボーイだからっ!」



 ボーイの趣味せいへきが仇になったか!?



 ほとんど口を開かなかった青髪少女の言葉に驚くが、ロリコンのレッテルを貼られる訳にはいかないので弁明する。




「先程のゆかりの申し出にも椅子から飛び上がる程、関心があるようでしたし……」





「ちげーからな!? いきなり過ぎて力が抜けただけで、飛び上がったんじゃなくてずり落ちそうになっただけ……ん? 縁……?」


 続いて口を開いた茶髪の少女の言葉に疑問が湧く。

 流れ的に縁というのはそこの銀髪少女のことだろう?

 名前なんていつ決めたんだ?



「先程話し合った際に、助言に従い自分たちで名前を決めました。やはり名前があやふやなのは嫌ですし、後々困ると思いましたので。改めて、遠野とおの 燈火とうかです。」



 茶髪の少女は改めて燈火と名乗った。



「同じく、遠野とおの しずくです。おっしゃられた通り、遠慮せずに頼らせてもらいます」



 青髪の少女、雫がそれに続き……




「改めまして、遠野とおの ゆかりと申します。不束者ふつつかですが末永すえながくよしなに願います」



 銀髪少女こと、縁が最期にそう締めくくる。



 待て、落ち着け。

 色々おかしいところが盛り沢山だ。

 名前を決めるのはいい、自分自身として存在証明にもなるし、

 複雑な境遇である三人に取っては良いことだ。




「なんで俺と同じ遠野姓なんだよっ!?」




――――嫁入りか? 嫁入りなのか? え? 俺ロリコン?




「引き取って貰うのだから同じ姓を名乗ったほうが都合がいいと思いまして。それに私達の姓はどうやら有名みたいなので、後々不都合が生まれると考えたのですが……あの……迷惑でしょうか……?」



 確かに三人の元の姓は爆弾となるだろう。


 二百年以上前の帝国時代。

 華々しく活躍した者達。

 つまり異能者を取り込んだ華族を前身とする家系が今でも続いている。

 【原初】を祖とする、日本屈指の異能家系。



 御三家と九家をあわせた十二家。



御三家ごさんけ 時明ときあかり御影みかげ桜音おうね


九家きゅうけ、 不知火しらぬい風華かざはな雷音寺らいおんじ心葉このは碓氷うすい土生滝はぶたき鴇頭森ときとうもり聚光院じゅこういん水戸川みとがわ……今は水見識みずみしきだったか。



 どれも歴史の教科書に確実に載っている物だ。





 いつの間にか近い距離に迫っていた燈火が、身長の兼ね合いもあって必然的に上目遣いで見つめてくる。


 肉体に引っ張られているのだろうか、

 はたまた知識だけ故に感情の制御がうまくいってないのか、大きな黒い瞳は潤んでいる。



 これじゃ俺が悪者じゃねーか。




「だめ……ですか?」



 今度は雫が燈火の隣に立つ。

 同じく少しだけ青がかった黒い瞳を潤ませ見つめてくる。




「ああ、もう! わかったよ! それでいいよ。遠慮するなとはいったけどいきなり過ぎない!? だからといって特に何かあるわけじゃないけどさぁ!?」



 確かにいい案が有るわけでもないので、半ばやけくそ気味に了承する。



「それと、敬語を使うなとは言わないが言葉は注意しろよ! 年端もいかぬ少女達を顎で使ってるように見えるから! 外聞的にも非常によろしくないからっ! 今の時代、お前らの見た目でそんな畏まった言葉遣いするやつなんて一部しかいないわ!」



 一拍おいて。



「その一部が長く続く家柄、つまり十二家と関係性がある家だ。例外はあるけど、少しでも疑われる要素を減らしておきたい。後、同じ家で住むしかないんだからかしこまったら疲れるだろ」



「はい、かし……わかりました。気をつけますね」



「……うん、ありがとう。」



「わかった。気をつける。」



 縁、燈火、雫の順に答える。

 まあさっきよりかはマシになった気がする。

 ま、これから過ごしていく中で徐々に砕けていくだろ。



「で…だ。いつまでくっついてるつもりだ? 縁までいつの間にかくっついてるし」



「女の子がくっついてたらコロって落ちてくれる心象的によくなると思ったから……かな?」



「意外と黒いなっ!? おいっ!」



 意外と柔らかい……じゃなくて!

 話してきた内容的に当然っちゃ当然だが、

 元々の性格も関係しているのか、遠慮なく本心をさらけ出してくる縁。

 少し早まったかと思うが、自分で言ったことなので仕方がない。

 少し乱暴に三人の頭を交互に撫でながら、この少女まみれの状態を抜け出すために提案をする。



「とりあえず、飯でも食ったらどうだ? そこにルームサービスのやつがあるから。足りなきゃそこのメニューから注文すればいい」



 考えると、脱出してからずっと何も食べてなかったのだ。

 それに食事なんて記憶にあるだけで、本当にしたことが在るわけでもない。

 年相応の好奇心に満ちた顔を見ればわかる。

 証拠に、促した三人はすぐさまワゴンに群がり、何を食べるかきゃいきゃい話し合っている。



「じゃ、ちょっと電話してくるから席外すな。注文はタッチパネルでするように」





「「「はい!いってらっしゃい!」」」





 元気でよろしい。



 初めて聞いた、

 三人の元気な声と姿を背に、右腕につけたデバイスを起動して、通信を開始する。



 できれば頼りたくはなかった後見人へと



――あ、急いで食べたら胃がやばいんじゃないか……?


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