行間01「道化師の願い」
誰だって、人生においては自分が主人公だ。掲げる目標は違えど、それを達成させて輝かしい人生を掴み取りたいはず。スポーツ選手や学者として優秀な成績を収めたり……何であれ成功さえすれば、人生の主人公として誇れる。そう思うのが人間らしいし、それでこそ人間というものだ。
――だが真城 創伍だけは違う。
彼は先の不幸の法則により、自分は人生の主人公であると思ったことがない。掲げた目標なんて達成しようにも、不幸が至る所で待ち受け、阻み、滑稽な姿を衆目に晒され、観衆は指を差して彼を笑う。
まさに
道化が
そんな真城 創伍は、心の底から主人公になることを望み続けている。ただ彼の法則以外に、
何も持ち合わせていない
――そんなの嫌だ。
叶わぬ願いと諦めたからこそ、長い年月の間でその感情を押し殺し続けてきた。しかし心の奥底で、彼は今日までもう一つの願望を抱き続けていた。
――俺を主人公と認めてくれない世界なんていらない。そんな世界は消えちまえ。
他者あってこその承認欲求とは矛盾している。だがそうなればそうなったで、きっとこの法則から解放されるだろう……と、まるで死を待ち続けるかのように、創伍は今日まで無意識に生きてきたのだ。
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