第31話 チートスキル盛りだくさん!
僕は人間界から「転移」して「魔界」に乗り込んだ。
「創造」が制限なしに使えるのだから、便利な「転移」を創らない訳がない。
まずは僕をコケにした「存在の魔王」と「夢の魔王」を倒す。
新しいスキルを創り出せば見つけだすことは容易い。
「『捜索』!」
スキル名を高々と叫び、「捜索」を発動する。
―――――――――
捜索:指定した人物の居場所を特定できる。地図上に表示される。
―――――――――
このスキルは、前に使った「追跡」の上位互換だ。
地図さえ読めれば居場所を「追跡」では特定できなかった距離も含めて知ることができる。
しかも縮尺や色など、表示の仕方を好きなように調節できる。
僕は「捜索」の対象を「存在の魔王」と「夢の魔王」にする。
二人同士は近くにいるらしく、地図の縮尺は一倍だ。
「ふむ、『魔界』のあそこか」
前に「夢の魔王」とやり合ったあの城だ。
「……リベンジマッチといこうか」
▽
この二人は非常に強い。
その為、たくさんのスキルを「創造」する。
―――――――――
魔法適性(即死):即死魔法に適性を持つ。
―――――――――
このスキルは僕の特製だ。
「魔法適性(全)」には含まれていない。
このスキルを使えば触れるだけで対象の人物を殺すことができる。
誤って殺すことがないように、予め殺したい人物を登録しておき、僕の手が相手の体に触れると死ぬという仕様にした。
触れるだけや見るだけで殺すことができるような仕様だと誤って他人やパーティーメンバーを殺してしまう可能性がある。
スキルで蘇生はできるが、気持ち的には避けたい。
―――――――――
不死:このスキルを持つ限りいかなる手段を持っても生命を絶つことはできない。
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このスキルには前にも助けられた。
これから「創造」するスキルがある限り使うことにはならないだろうが、保険だ。
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外部干渉不可:如何なる方法を持ってしても他人から干渉されることはない。
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これがあれば直接的な攻撃を受けることはない。
これで「存在の魔王」にスキルを消されることも、「夢の魔王」に「夢」を見せられることもないだろう。
他にも「魔法適性(全)」や「武術適性(全)」、「身体能力強化」と言ったスキルも「創造」した。
これらがあればより楽に即死魔法を当てることができるだろう。
はっきり言おう。
これなら負ける何てことは有り得ない。
「魔界」で精々暴れてくることにしよう。
「私達行く意味あるかなぁ」
キーはそんなことを言っているが、はっきり言って一人で行くなんて有り得ない。
一人旅なんてつまらない。もうパーティーメンバー達のいないことなんて考えられない。
それに、今の僕なら何らかのトラブルがあっても彼女らを守りきれる。
▽
周りの目線なんて気にせず、突っかかってくる者は無視して、真っ直ぐに「魔王」二人がいるところへ向かう。
「転移」をしないのは、「夢」を使われていたせいで前回の記憶が曖昧だからだ。「転移」は見たことあるところにしか飛べない。時空魔法を使っても同様だ。
食料も水も何もかも僕の「創造」で創り出す。
寝るときは小さな家を建て、ベッドも創り、「魔法適性(全)」に含まれる結界魔法で守りながら安心して寝る。因みに家やベッドは使い終わったら時空魔法で異次元に飛ばして処理する。
物凄く楽な旅だ。制限のなくなった「創造」は強すぎる。
そして二日ほど掛けて「魔王」の城に辿り着いた。
道中で襲いかかってきた奴らは殺さずに無効化した。
戦闘になれば即死魔法を使うことも吝かではないが、こいつらは戦争に関係ない。
城に入る。
いきなり僕以外の全員がおかしなことを言ったり、おかしな行動をとったりし始めた。
恐らく「夢」だろう。
「外部干渉不可」を創っておいて良かった。予想通り僕には効かないようだ。
いや、これ自体が「夢」ということも考えられるか?
こんなことを疑うのなら事前に対応スキルを創っておけば良かった。
僕は新たなスキルを「創造」する。
―――――――――
目覚まし:強制的に現実に引き戻す。
―――――――――
これを自分を含む全員に使う。
景色は変わらない。「外部干渉不可」はしっかり機能していた。
「「「「はっ……」」」」
全員が同時に目覚める。
さあ、戦いはここからだ。
▼
僕は城の中を歩き回る。
しかしおかしい。襲ってくる敵がいない。
逃げられたかと思い、「捜索」を使ってみたが殆ど動きがない。
そしてしばらく歩き、何個目かわからないドアを開けたとき。
「よく来たねぇ」
その声と共に部屋の入り口が炎上する。
「どうだい? これで入ってこれないだろう?」
……これは|憎(にっく)き「夢の魔王」の声か。
「ふんっ、嘗めるな」
僕は魔力を錬る。
ものすごい量の魔力が僕の手に集まっていく。
そして水魔法を放つ。
一瞬で炎は全て消えた。
そして、炎の球がさながら雨のように降りかかる。
それと同時に風魔法での嵐も迫る。
嵐によって送り込まれた物凄い量の酸素が火の勢いをより大きい物とし、さらにはその勢いの炎をそのまま嵐に巻き込んでこちらに突っ込んでくる。
ニヤリ。
炎の向こう側に口元を大きく歪める「夢の魔王」が見えた。
イラっとする。
このまま向かっていっても僕には影響がないが、後ろの仲間達に被害を及ぼしかねない。
「『創造』。『解析』」
僕はコンマ秒にも満たない短時間で新たなスキルを「創造」し、「解析」を使って炎の嵐の向き、大きさなどを綿密に調べる。
そして一瞬でそれと正反対の炎嵐を創り出すと、ぶつける。
それだけで打ち消しあってどちらの炎嵐も散り散りになる。
僕はその瞬間に「身体能力強化」を使用し、駆け始める。
刹那。僕の手は「夢の魔王」に触れた。
「あ……が…………」
それだけで「夢の魔王」の命は儚く散った。
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