最終章 神魔大戦
第30話 その時は、唐突に
――「神界」にて。
「報告です。『魔界』に不穏な動きがあります。近いうちに何かを仕掛けてくるつもりでしょう」
諜報員として「魔界」に忍ばせていた天使の報告を、「創世神」は黙って聞く。
(ついにこの時がやってきたか……)
いつかくると、分かっていた。
だから「神」としての力を無くしながらも死なずにここまで生きてきた。
「すぐにでも戦闘に入れるように用意しといてくれ」
「創世神」は覚悟を決めた。
――この戦いが、死に時じゃ。
▼
「神」や「魔王」、その下位互換である天使や魔人でさえ人間界に住むあらゆる生物を大きく上回る力を持っている。
それは多少の才能や、かなりの努力ではひっくり返しようのない大きなものだ。
しかし、稀に、本当に稀に|いる(・・)。
天使や魔人、下手したら「神」や「魔王」にまで届くかもしれない程の力を持つ人間が。
例えばテラリア王国が誇る「最強の人」。
例えば竜族の里に住む「破滅の竜」。
例えばエルフの村が排出したSランク冒険者である「風神」。
この三人は、どれも人間界に身を置く者でずば抜けて強い。
桁外れの才能と血のにじむ努力がそうさせた。
多少の才能や、かなりの努力ではひっくり返しようのない差。
しかし彼らは、多少では済まない桁外れの才能と、かなり何かじゃ生温い血のにじむ努力でその差をひっくり返して見せた。
そして、この三人は、ある一人の男が声をかけるだけで一カ所に集う。
アーツ・バスラ。この男ならば、三人全員を味方につけることができる。
▼
着実に戦争への支度は進んでいく。
僕はこの戦争に参加するつもりだ。
条件の付かない「創造」を手に入れた僕は、「神」の中でも飛び抜けて強いだろう。
必要に迫られた時以外に「創造」を使おうとすると「創造」の精霊に怒られてしまうが、逆に言えば必要に迫られれば、窮地から一気にその場をひっくり返せるような強大なスキルを創り出すことができる。
僕がこの戦争に参加する理由は三個ある。
一つ目。
僕は純粋にこのスキルの力に興味がある。
「神界」を救いたいなんて善人ぶったりはしない。
ただただ、僕は自分が手に入れたチートスキルの力に興味があるだけなのだ。
二つ目。
「魔王」連中が気に入らない。
「夢の魔王」と「存在の魔王」。僕は二度もコケにされた。
このままじゃおかない。
どんな手を使ってでもぶっ潰す。
三つ目。
ここで「魔王」達を殺しておけば僕の生活は平和になるだろう。
いつもいつも戦いに巻き込まれた先には「魔王」がいる。
こいつらがいなければ僕は仲間達と平和に暮らすことができる。
これが一番大きな理由だ。
絶対に戦争で勝つ。
僕はそう心に決めた。
▼
そして「神界」と「魔界」の戦争が始まった。
「神」に「魔王」、天使に魔人、さらには人間やエルフ、竜族まで巻き込んで。
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