第21話 忠告

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同族殺し:生まれたときの種族が同じ者に対して、より強力な攻撃を放つことができる。

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 僕は「神界」に現れた元天使の魔人が持つこのスキルを恐れて、周りに大勢天使がいる街中から少数の「神」しかいない神殿近くに転移した。


 周りに天使がいなくなれば、敵のスキルは意味をなさない。

 魔人と言えども、僕達のパーティー相手にスキルなしでは敵わない。

 あっさり敵を無力化することができた。


 そこへ、「神」達が騒ぎを聞きつけてやってきた。

 そして挨拶のときも僕をずっと睨みつけていた「破壊神」が僕に向かって殺気を放ちつつ怒鳴ってくる。


「おい!この神聖な空間で何をやっている!」


 誉められると思っていた僕はその言葉に少なからず衝撃を受ける。


「わらわ達がこの『神界』に害を為す者を退治してやったのじゃ!怒ることはなかろう!」


 レヴィは「破壊神」のこの物言いに不快感を覚えたのか、怒鳴り返していた。他のパーティーメンバー達も頷いている。


「良いわけがあるか!ここは『神界』の中でも重要なところなんだぞ!」


 そう言いながら「破壊神」が何かを始めようとする。

 そして「創世神」に止められる。


「やめておけ」


 そして「破壊神」は舌打ちをひとつ残し去っていった。


「重要なところって何ですか?天使達の命や多くの天使が住むあの街よりも大切なんですか?」

「そうじゃ。ここにはこの「神界」の中で最も重要なものがある」

「それって……」

「今は教えることはできん」


 結局、その日はホテルに戻ってさっさと寝た。


 ▼


 その夜、僕は「索敵」に誰かが引っかかったのを感じ、目を覚ます。


 同じ部屋で寝ているパーティーメンバー達を起こさないようにこっそり部屋から出る。


 そこには「破壊神」が立っていた。


「付いてこい」


 そう言うと、「破壊神」は黙って歩き出した。

 僕はその後を慌てて追う。


 しばらく歩いて辿り着いたのは公園のような開けた場所だった。

 「破壊神」はその公園にあるベンチに腰をかけると、目で僕も座るように促す。

 促されるままにベンチに座ると、「破壊神」は話を始めた。


「あの一見建物以外何もなさそうな街の中には「神界」を制御する装置がある。あれが傷つけられると、「神界」の制御に狂いが発生し最悪天使も『神』も全員死ぬ」


 それは僕にとってあまりにも衝撃的な事実だった。

 一歩間違えていれば、この「神界」諸共あそこで戦ったときに出ていたであろう被害より多くの命を奪ってしまうところだった。


「だがそんな理由はオマケに過ぎねぇ。あそこは俺の思い出の場所なんだ。あそこを汚すことは例え同じ『神』だろうと許さねえ。次やったらぶっ殺してやる」


 ――これは忠告だ。

 そう吐き捨てて「破壊神」は帰って行った。


 僕はひとり残された公園のベンチで、冷たい風に吹かれながら

日が昇るまでずっと、 「破壊神」の言葉に考えを巡らせていた。


 ▼


 僕は「時神」と向かい合っていた。


「ちょっとお願いがあるんだけどさぁ~。新しいスキルを作ってくれな~い?」

「別に良いけど何を作ればいいんだ?」

「昨日捕まえた魔人が全く口を開かないから自白させたいんだよね~。だからそういうスキルでお願~い」


 僕は新たなスキルを「創造」する。


―――――――――

毒調合:素材を組み合わせることであらゆる効果の毒を調合することができる。

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 このようなスキルを「創造」してみた。

 「創造」で直接自白剤を作り出しても良かったのだが、あまりざっくりしていると想像力が及ばずに変なものが出来てしまうことがある。

 だから、スキルを「創造」したほうが楽なのだ。


 そして、30分程で街を走り回り、自白剤の調合に使う材料を全て買い揃える。

 ここまでくれば後はスキルを使うだけだ。


 自白剤の調合には成功し、「時神」にこれを手渡す。


 ――そして数時間後、「神界」に「魔王」が潜伏していることが発覚した。

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