第12話
清々しい朝を迎えた凌馬とミウ。朝食を済ませて早速出発する。
凌馬は、ミウの力を把握するために話し掛けた。
「ミウ、ちょっとドラゴンに変身してドラゴンブレスを撃ってくれないかな? どれくらいの威力か確認しておきたいし。」
「うん、わかった。」
ミウはドラゴンの姿に変身すると、「みゅう?」と凌馬に確認してきた。
「うん、撃っていいよ。」
GOサインを出した凌馬。
(まあ、ミウはまだまだ子どもだからな。あまり威力は期待できないが、自分の身を守れるくらいの強さは身に付けさせないとな。)
凌馬はそう考えながら、ミウのドラゴンブレスの威力を見る。
「スゥー、ゴオオオオオ───────!」
目の前の森が一瞬にして炎に包まれていた。
「のおおおおお! ミウ、ストップ、ストップ!」
「みゅ?」
凌馬は慌てて止めると、目の前の大惨事に対処する。
如月凌馬
ジョブ
・
知ってるかい? 三十歳童貞でも魔法は使えないんだぜ! えっ? 俺? ち、違うよ。親戚の兄ちゃんが言ってたんだよ!
○
○能力値
力 500
魔力 9999
素早さ 1000
生命力 1500
魔法抵抗 9999
「ウォーターレイン(最大魔力ver.)」
凌馬の魔法によって、森林火災はなんとか食い止められることになった。
「ハァハァハァ。」
「みゅーみゅー?」
ミウは大丈夫? と凌馬を心配そうに見つめていた。
「ああ、大丈夫、大丈夫! ちょっと驚いただけだから。」
凌馬は、ミウに笑いかけてそう答えた。
(危うくここら一体の森林が焼け野原になるところだったぜ。これはおいそれとはドラゴンブレスは使えないな。)
凌馬はそう考えてミウに話し掛ける。
「ミウ。ドラゴンブレスはパパが許可するまでは使わないようにしような。森とかで使っちゃうと、動物さんたちの家とか無くなっちゃうからね。」
凌馬がそう言うと、「みゅ!」と了解してくれた。
「うん、いい子いい子!」
凌馬はミウの頭を撫でる。
そんなこんなをしながら、凌馬とミウの旅は続いていた。
馬車は何事もなく走っている。
『丘を越え行こうよ───────』
凌馬はミウに日本の歌を教えると、馬車を走らせながら一緒に歌を歌っていた。
こうしていると、嫌なことは全て忘れていられる。
「ミウ、次は何にする?」
「くまさんの歌!」
「よし、じゃあそうしようか。」
リクエストの歌を歌い出す。
『ある日 森のなか クマさんに 出会った───────』
そんな幸せの時間をぶち壊す存在が、道の中央を塞いでいた。
「おい、そこの馬車。止まりやがれ!」
「あっ! パパ、鳥さんがいるよ!」
「ホントだ。二羽仲良く一緒にいるね。」
「パパとミウみたいだね!」
ミウの言葉に、笑みをこぼしながら頭を撫でる凌馬。
「おい、貴様ら。さらっと無視するんじゃねえ! 止まれっていったのが聞こえないのか!」
この幸せな時間をぶち壊してくれた野郎共を、ぶちギレた凌馬が視線を向けていた。
「さっさと馬車から降りて、積み荷を差し出せば命だけは助けてやるぜ!」
「おい、そこの子供はなかなか可愛い面してるじゃねえか。変態貴族様に売れば、かなりの金額で買い取ってくれそうだぜ。」
そんなことを、凌馬に聞こえるように話し合っていた。
「ミウ、ちょっと後ろの荷台で待っててもらってもいいかい?」
「ん?」
「パパはこのおじさんたちとちょっとお話があるから、いい子で待っていてくれるならチョコレートを上げよう。」
「うん、ミウおとなしく待ってる!」
凌馬はミウを荷台につれていきチョコレートを渡すと、荷台の入り口を閉めて盗賊たちのもとへと向かった。
「へっ! 何をするかと思えば、そんなところに隠しても貴様を殺してからすぐに引きずり出してやるぜ。」
盗賊の一人がそう言ってきた。
「でも、今日はついてましたね。さっきの商人たちといい、結構いい稼ぎになりそうですぜ。俺達も早く帰って、宴会に参加したいぜ。」
ズドン!
そう語っていた盗賊は、次の瞬間に凌馬の蹴りを食らうと地面を何度もバウンドして百メートル程吹き飛んでいった。
如月凌馬
ジョブ
・
我が刀に斬れぬものなど存在せぬ───。
いや、こんにゃくは・・・こんにゃくだけは止めてー‼
○
○能力値
力 4500
魔力 1000
素早さ 5000
生命力 3500
魔法抵抗 2500
「さてと、さっきはなんか面白いことを言ってくれていたな? 俺の娘のミウをどうするだって?」
「きっ、貴様何しやがる!」
「この人数相手に・・・」
バシ! ドゴン!
凌馬が二人の盗賊の頭を掴むと、地面へと叩きつけて盗賊の顔が地面にめり込んでいた。
「聞こえなかったのか? 俺はミウになんと言ったのか聞いているんだ。二度も言わせるな、殺すぞ!」
完全に切れて目がイっている凌馬。
先程までと明らかに別人の凌馬に、残っていた盗賊たちは動揺し始めていた。
「怯むんじゃねえ、それでも盗賊団か? こんなやつみんなで掛かれば・・・。」
ガシッ!
凌馬は、リーダーにアイアンクローをしたまま体ごと持ち上げるとミシミシと力を強めていく。
「誰が余計なことを話していいと許可を出した? 俺はなんと言ったかと聞いているんだあーーー!」
凌馬は、リーダーの足を思いきり蹴ると骨の砕けるおとが響き、堪らず悲鳴を上げる。
「ぎゃあああああああ─────!」
地面に下ろしたリーダーの男は、その場でのたうち回っていた。
「答えろ、次はないぞ?」
「あ、あなた様の娘さんを貴族に売ろうと・・・。」
なんとかそれだけを言ったリーダー。
「ああ? 人様の娘になに言ってくれてんだ、ごら! ぶち殺すぞハゲ!」
凌馬はそう言うと、リーダーの股間を思いきり蹴りあげた。
バン!
「ぎぃええええええええええ・・・・・・!」
バタン!
あまりの痛さに気絶してしまった。
その凌馬のどこぞのヤクザのような口調と、自分から聞いといて正直にしゃべったリーダーに対する容赦ない行動に、他の盗賊たちはドン引きしていた。
《どないせい言うねん?》
何処からかそんなツッコミが聞こえてきそうだが、ミウに手を出そうとした時点で盗賊たちの未来は決まっていたのだった。
「さて、貴様らに残された道は二つ。一つ、このまま黙って殺される。二つ、抵抗して殺される。どちらか選べ。」
いやだ、どの道死んでるじゃん!
「た、頼む。何でもするから命だけは助けてくれ!」
一人が武器を捨てると、次々と武器を捨てていく男たち。
「よし、じゃあさっき言っていた捕らえた商人たちは何処に居る?」
「アジトに連れていったから、もう着いている頃だと思う。」
凌馬の問いに正直に答える盗賊。
「お前たちのアジトの場所は?」
しかし、その問いに答えを渋る。
「俺たちの親分は裏切れねえ。頼む、他の事なら何でも・・・。」
バン!
「ぎゅわああああ・・・。」
凌馬は男の股間を粉砕する。
バン!
「ぬええええええええええ、な、何で俺まで・・・。」
隣の男の股間も、問答無用で粉砕する。
「聞かれた事だけ答えろ。拒否や沈黙は敵対行動と見なす。」
そうして、残った男たちからアジトの場所を聞き出すと、一番最初に吹き飛ばした男を拾ってきて今後の予定を経てる凌馬であった。
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