自由散文詩掌編『創造』

棺桶リサイクル

あなたの寿命はどのくらいだろう

電子機器の言葉が分かればいいのに

規則正しく決められた通りに発せられる音

アラームより酷い頭痛が辺りに響く

ならあの扉から出ればいい

いや蓋をすればいい、機械は鳴り続けれるけれども

きみの耳を煩わせることはないだろうに

諦めきれないから、傍にいる

寿命ですよ、とは言われてない

ただ時期ですね、と言われただけ

直せば使えるだろうし

修理に出してくれれば使えるでしょう

ただほんの少しだけ世間よりも古いだけ

アップデートされていく世界から

爪はじきされるのは目に見えるでしょう

別に馬鹿にする人なんていないし

……買い替え時か。

自問自答した末の答えは簡単だった。

膨れ上がったバッテリー

修理には二万ほど

古い機種ですし、新しくしてみては？

そんなセールス

結局、一番新しいものを買った。

相棒はバッテリーだけでなく液晶画面も映らなくなって

それでもシステムは残りの電池を使いつつアラームを鳴らしてくれる

朝、昼、夜の一日を知らせてくれる低くも柔らかい音を聞く

これがいつまで、と思っていたら買い替えてから二日で電池が切れた

それに笑ってしまった。生前と言うにはおかしい表現だけれども

前の機種は一日も電池が持たなかったのに

電池パックが膨れ上がり、画面が映らなくなれば、こんなにもつんだ

そんな感想。

残念ながらコレの棺桶は持ってないので新しい奴のを棺桶にしてやった

長方形で、白でパッケージに機種のデザイン、うん、棺桶だ

滑らかで綺麗な棺桶。リサイクルは少しだけ待ってほしい。

まあ、チップは新しいのに入っているので魂の乗り換えはばっちりですよ