てのひら

夕焼けの空を見ながら帰った日

寂しがり屋のきみの隣で

橙に染まっていた

話すこともなく、ただ歩くだけで

遠い、遠い場所に来た気分だった


何をするべくもなく

ただ隣を歩いて、こんな日が

ずっと続けばいいと思っていた

この手のひらに甲斐性があれば

あの日に手を繋いで帰れただろうか


今は一人で歩いてる

あの橙と同じではない夕焼けと道のりに

今日もあの日の幻を思い出す

街を縫うように歩いて

今日も何も掴まない手を

ゆっくりと握って、ああ、まださよならを言えないでいる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る