ひとりひとり
寂しいとは思わなかった
別れを告げられた、この日は寒く身が縮みそうなほどだったというのに
悲しいとは思わなかった
呆然と「そうか」としか言えなかったし
頭の中は白く靄がかかったように他人事のようで
足は地につかず、ふわりと浮き上がった心持だった
どこかで予感をしていたのだろうか
たぶん感じていたのだろう
この恋は、愛は尽きているのだと
私はここで死んでしまった
恋と愛が朽ち果てて、私は荒野で薄汚れていく
頬がこけ、肉が腐り、骨がむき出し、見るも無残な姿になって
横になる私は、きっと一人ではないだろう
この荒野には腐乱死体が沢山あったから
私もその一つになったに過ぎない
なんとも、なんとも、当たり前な結末で
吹き荒れる風に身をさらしながら
私は「わかった」と肉を腐らせ
私を殺して、生まれ変わる
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