7-2
あげるとか、なんとか。
そういうやり取りを聞いたのを覚えている。
晴れてこの身体が僕のものになって、僕は大人になる準備をしていたんだけれど、嬉しくともなんともなかった。どうせ大人になったって、僕が飛べる範囲なんてごく僅かだと知っていたから。
外の様子なんて見えたことなくて、
(あーあ、最悪)
大体、どうして自由を奪うのかがわからない。あいつは別に食べるものに困ってはなかったみたいだから、食べ物は貰えてたんだろう。僕らの宿主の食べる葉が、宿主が広さを把握できる程度のカゴに収まるような木につかないことくらい知ってる。
こうやって世話をやいて、施してやってる、って思うのが楽しいのかもしれない。もっと言うなら、生きるのも死ぬのも自分次第だっていうのを楽しんでいる可能性だってあった。
むかつく。そういうのは僕のものなのに。
自然と作業にも身が入らなくなる。僕を捕らえているにんげんは、一体どんな奴なんだろう。もし手の届く位置にそいつがいるなら、すぐにでも首を噛みちぎってやるのに。
――いや、どうせなら寄生してやりたい。身体の痛くないところからじわじわと殺してしまいたい。今すぐにでも。
もし手の届く位置にいるなら。例えば、僕がにんげんの姿になって、話せたりするのなら。
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